腸内環境を整えるのは健康に生きていく鍵であり、多くのメリットがあります。その一方で、腸内環境を改善しようと努めてもすぐに効果が出るものではないです。大切なことは腸活の継続です。本記事では腸内環境の大切さをはじめ、その整え方、改善にかかる期間、NG行動などについて解説したいと思いますので、これから腸活を始める方や興味を持たれている方は是非参考にしてみてください。
腸内環境を改善するメリット
腸内環境は様々な種類の腸内細菌によって成り立っています。そして、私たちが健康に生きていく上で、大変重要な役割をになっています。腸内環境が整っていれば、体にとって様々な嬉しい効果があります。逆に、腸内環境が良くない状態であれば、生活習慣病をはじめとした体調不良、アレルギーなどに悩まされるかもしれません。ただ、腸内環境を整えれば良いことはわかっているけど、どんなメリットがあるのかよくわからない、という方も多いと思います。そこで、まずは腸内環境を改善する具体的なメリットについて解説したいと思います。
太りにくい身体になる
腸内環境が悪いと食べたものの消化が鈍くなってしまい、結果的に脂肪がたまりやすい体になってしまうことが知られています。したがって、過度なダイエットよりも、腸内環境を良くすることが太りにくい体への近道かもしれません。
ストレスを感じにくくなる
腸は第二の脳と言われるほど、自律神経の働きにおいて重要な臓器と言われています。また、脳腸相関と表現されるほど腸は脳の機能とも密接に関わっているため、腸内環境がよければ脳が不安を感じることも少なくなり、ストレスも感じにくくなると考えられます。
睡眠の質が向上する
腸内環境は睡眠とも密接に関わっています。良好な睡眠を得るためには睡眠ホルモンの1つであるメラトニンが働いてくれる必要があります。腸内環境が整っていれば、トリプトファンという必須アミノ酸が多く作り出され、その結果メラトニンが活発に生成され、睡眠の質の向上にも繋がることが期待できます。
美肌になる
腸内細菌はお肌にも大きな影響を与えていることが知られています。腸内に便が長く滞在している状況下では、悪玉菌が増えてしまいます。その悪玉菌はアンモニアや硫化水素などの有害物質を生成してしまい、それらが血液を介して肌にも影響を及ぼしてしまい、ニキビや肌荒れに繋がってしまいます。そのため、腸内環境を改善することで、善玉菌が悪玉菌よりも有意になれば、有害物質の産生も抑制され、肌のコンディションも向上にも役立つと考えられます。
アレルギー反応が起こりにくくなる
腸内環境と喘息やアトピー性皮膚炎、花粉症などのアレルギー疾患には深い関係があると言われています。アレルギー反応とは体を守ってくれている免疫細胞が、逆に体を傷つけてしまう現象です。
腸内細菌の善玉菌よって生み出される短鎖脂肪酸が、アレルギー反応を抑制してくれる機能があることが報告されており、腸内の善玉菌を増やすことで、アレルギーの抑制に効果が期待できます。
免疫力が上がって体調を崩しにくくなる
私たちの身の回りには、ウイルスや細菌など、健康に悪影響を及ぼしてしまうもの多く存在してしまいます。それらから体を守ってくれるのが免疫システムです。腸には体内の6割以上の免疫細胞があることが知られており、体内最大の免疫臓器であるといえます。そのため、腸の健康こそ免疫力のアップの秘訣であり、腸の健康は腸内細菌のバランスが整った良い状態であることが絶対条件です。腸内環境を改善することで、体調不良に陥ってしまう回数を減らすことが期待できます。
腸内環境の改善にかかる期間
腸内環境の改善に取り組む活動を腸活と言います。しかし、腸活を始めてもすぐに効果が現れるものではありません。長い目で地道に継続していくことで、少しずつ効果が現れるものです。効果の現れ方は人によって様々でありますが、腸活を初めて全然効果がないとすぐに諦めるのだけは避けましょう。ここでは、腸活を初めてどれくらいの期間で、腸内環境の改善ができるか具体的にみていきたいと思います。
効果が見え始める2週間
早い人であれば腸活をスタートして2週間程度で、腸内環境の改善効果がみられるようになると言われています。しかし、効果がみられたから安心して腸活をやめてしまうと、腸内環境もすぐに元通りになってしまいますので、効果が出てからも継続して腸活を続けることが重要です。
定着するのに3か月
腸活を始めて約3ヶ月で、良好な腸内環境の土台が出来上がるという説もあります。この頃には、元の悪い腸内環境と比較すると、腸内フローラのバランスも良くなっていると想定されます。
効果を実感しにくい方は、便の状態を観察するとよく分かります。便は腸内環境の状態を表してくれる指標とも言えますので、以前よりも良い便であれば間違いなく腸内環境は改善されつつあると言えます。
継続することが大切
腸活は地味で効果を実感しにくい部分もあるため、モチベーションの維持が難しいかもしれません。しかし、腸内環境を良い状態にしておくには、とにかく腸活の継続しかありません。長期的にみていくものであり、やめればすぐに元通りになってしまいます。慣れるまではめんどくさいかもしれませんが、腸活を習慣化しましょう。
腸内環境を整える方法
ここまで、腸内環境の重要性を説明しましたが、ここからは代表的な腸活の方法についても言及したいと思います。決して難しいことではなく、特別なサプリメントを飲んだり、お金をかける必要もありません。日々の生活で、誰でも簡単にできることしか紹介しませんので、是非参考にしてみてください。
朝起きたらコップ1杯の水を飲む
まず朝起きたらコップ一杯の水を飲むようにしましょう。起きた後にすぐ水を飲む行為は水分補給をする意味でも重要ではありますが、胃結腸反射を誘導するのにも重要です。胃結腸反射が起こることで、ぜんどう運動が活発になり、自然な便が出やすくなります。
さらに、水を飲むことによって副交感神経も刺激されることが知られています。胃や腸は副交感神経によって、調節されている臓器ですので、コップ一杯の水によって自律神経のバランスも整うことが期待できます。注意点としては冷たすぎる水だと、体の内側を冷やしてしまい、代謝の低下にも繋がってしまうので、常温の水か白湯にしましょう。
乳酸菌を取り入れる
腸内環境を整える上で、乳酸菌は欠かすことができません。乳酸菌は代表的な善玉菌の一つで、腸内で発酵活動を行い、体を良い方向へと導いてくれます。
腸内細菌には大きく善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3つに分けられ、腸内の理想的なバランスとしては善玉菌2割・悪玉菌1割・日和見菌7割と言われています。悪玉菌が増えてしまうと、腸内の腐敗活動が進んでしまい、便秘、下痢、肌荒れの原因になってしまいます。そのため、相対的に乳酸菌など善玉菌を増やすのが望ましく、乳酸菌をたくさん含んでいるヨーグルトや納豆、キムチなどの発酵食品を積極的に食べるようにしましょう。
食物繊維を取り入れた食事
食物繊維は便秘解消に必要なものというイメージがあるかもしれませんが、血糖値上昇抑制の効果や腸内環境への影響も明らかとなっています。
乳酸菌などの善玉菌は腸内でエネルギーを摂取した後、短鎖脂肪酸を生成します。その短鎖脂肪酸は腸内環境を整える上で重要な物質です。そのため、短鎖脂肪酸がたくさんできてくれるのが良いと思われますが、そのためには善玉菌のエネルギーとなるエサが必要になります。そのエサの役割を担うのが食物繊維やオリゴ糖であると言われています。したがって、食物繊維を積極的に取り入れた食事をすることは、善玉菌にエサを与えることにつながり、結果的に腸内環境が良い方向にいくとされます。
適度な運動
腸内環境を整える上で、適度な運動も効果的です。適度な運動は血流促進につながり、体に良い刺激を与えてくれ、腸の活性化にもなります。腸が活性化することで、腸のぜん動運動も促され、便秘解消にもなります。アスリートのようなハードな運動をする必要はなく、ラジオ体操のような全身運動や、腹部を刺激するようなエクササイズが効果的であるとされます。
また、気持ち良い運動は、自律神経にも良い影響を与え、結果的に腸の活性化にもなります。適度な運動を心掛けることで、腸内環境の向上につながります。
睡眠を十分とる
先にも述べたように、脳と腸は「脳腸相関」と言われるぐらい関連している臓器で、十分な睡眠を取ることは腸内環境の改善にもつながります。言い換えれば、腸内環境が乱れていれば、睡眠の乱れにも繋がると言うことで、お互いが「持ちつ持たれつ」の関係性です。そのため、腸活をすれば睡眠の質の向上にもつながり、睡眠の質の向上に努めれば腸内環境が整う方向に向かっていきます。
サプリや整腸剤を飲む
サプリメントや整腸剤を効率的に活用するのも有効な方法です。乳酸菌サプリなどは善玉菌である乳酸菌を効率よく摂取できるため、悪玉菌の繁殖を抑え、腸内環境を整えてくれるのに一役買ってくれます。
整腸剤は文字通りお腹の調子を整える薬で、便秘薬のように腸に刺激を与えるものではなく、腸内フローラを正常の状態の戻してくれるものです。そのため、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を多く含んでいるサプリや整腸剤も活用しながら、腸内環境の改善に努めてみましょう。
腸内環境が悪化しやすいNG行動
腸内環境を整える重要性から整え方まで、具体的にご紹介しましたが、最後に腸内環境が悪化してしまうNG行動もご紹介したいと思います。NG行動を把握することにも大変重要なことです。可能な限り、ここで紹介するNG行動は避け、腸内環境に優しいライフスタイルを目指してみましょう。
偏った食生活を送っている
肉中心の食生活などを続けていると、腸内では悪玉菌が増殖してしまい、腸内環境は乱れてしまいます。悪玉菌は肉類に含まれているタンパク質をエサとするため、肉中心の食生活では、悪玉菌にとって格好の環境になってしまうわけです。そうなると、便秘の原因になったり、悪玉菌から排出される有害物質によって、便やおならの匂いがより臭くなってしまう状態になってしまいます。野菜を含めたバランスの取れた食生活を心がけましょう。
お酒を飲みすぎている
適量のアルコールであれば、血行を促進し、胃腸の働きを刺激し食欲を増進させる効果があると言われています。
その一方、アルコールの飲み過ぎも、腸内で毒性の悪玉菌を増加させてしまう原因になり、その結果、腸内細菌のバランスが崩れてしまう恐れがあります。腸内フローラが悪化すると、アルコールを分解しにくい状態になってしまい、脂肪肝や、非アルコール性脂肪性肝炎（NASH）などの疾患も引き起こしてしまう可能性があります。さらに、アルコール依存症も腸内環境が影響しているとの報告もあり、お酒の飲み過ぎは完全にNG行為でしょう。
デスクワークであまり動かない
デスクワークで、長時間座りっぱなしという状態も、腸内環境にとってはあまり好ましくない状況と言えるでしょう。
デスクワークでほとんど動かない人と、アクティブによく動く人とで腸内環境を比較した時、ほとんど動かない人の方が有意に善玉菌の数が少ないという報告もあるようです。そのため、デスクワークが多い方はたまには立って体を少しでも動かすように心がけましょう。少しでもたくさん歩いたり、通勤の電車の中は座席に座らず立って腹筋に力を入れることを意識するなど、何気ない日常生活の中でちょっとした工夫を施してみましょう。
不規則な生活リズム
不規則な生活リズムは体内時計の乱れに繋がってしまいます。食事のタイミングも不規則になりがちで、そうなると、腸内の善玉菌や働きが悪くなってしまいます。その結果、腸や脳の機能に悪影響を与えてしまい、食欲不振や便秘、自律神経の乱れ、ストレスの増加、などの症状に悩まされるかもしれません。体内時計を狂わせないよう、可能な限り規則的な生活を送るようにしましょう。
夜更かしや寝不足
先に述べたように腸内環境と睡眠は深く関わっており、夜更かしや寝不足は腸内細菌のバランスを崩してしまう大きな原因になってしまいます。その結果、肥満などの代謝異常にも繋がってしまう恐れもあります。
夜寝る前に、スマートフォンなどのブルーライトの光が目に入ってしまうと、脳が活性化されてしまうので夜更かしの原因にもなるとされます。そのため、忙しい方であっても腸のために夜更かしはやめて、7-8時間程度の十分な睡眠は確保できるよう心がけましょう。
暴飲暴食
言うまでもないかもしれませんが、暴飲暴食もNG行為です。暴飲暴食をすることで、体重が増加してしまうのはもちろんのこと、腸に負担がかかりすぎてしまいます。その結果、腸内環境は乱れてしまい、腸の免疫細胞が十分産生されず、体調不良の原因にもなってしまいます。特に、年末年始などはついつい暴飲暴食してしまいがちですが、腸のためにもほどほどにして腹八分目を心がけましょう。
まとめ
腸内環境は私たち人間が健康に生きていく上で、大変重要な役割をになっていることがわかったと思います。本記事を参考に、腸内環境を良い状態にキープできるようにしておきましょう。
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