健康になりたいと思ったとき、まずは腸内環境の改善からと考えている人は多いのではないでしょうか。もし腸内環境が良くないと感じているなら、将来さまざまな症状を引き起こす可能性もあるので、できるだけ早く改善に取り組んだ方が良いでしょう。
腸内環境は腸内細菌である善玉菌と悪玉菌のバランスが重要であり、日常の生活スタイルを見直すで改善できる場合があります。
今回は、腸内環境悪化による影響や改善することで得られる効果、日常生活で見直すところなどについて解説します。
目次
腸内環境悪化による影響
腸内環境が悪化すると次のような変化が現れることがあります。
- お腹の不調
- 肌荒れ
それぞれ説明します。
お腹の不調
腸内環境が悪化することで、便秘や下痢などのお腹の不調が生じやすくなります。
様々な要因で腸内細菌の善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れ、腸内での水分の調整がうまくいかなかったり、動きが悪くなったりして、便秘や下痢を起こしやすくなります。
悪玉菌が増殖することで腸内の老廃物と反応しガスが発生しやすくなり、腹部の膨満感によりおならやゲップが出やすくなることもあります。
肌荒れ
腸内環境の悪化は、肌荒れの原因にもなります。
肌荒れは不規則な生活習慣や偏った食生活などが要因として挙げられますが、それらの不摂生が腸内の悪玉菌を増やすきっかけとなっている場合が多くあります。
悪玉菌が優勢になると腸内に老廃物が溜まりやすくなり、パラクレゾールやフェノール類などの有害物質を発生させます。これらの有害物質が肌荒れの主な原因です。悪玉菌によって産生された有害物質は腸壁から吸収され、血液に乗って全身を巡り、肌荒れなどの肌トラブルを引き起こすことになります。
腸内環境を改善することで得られる効果
ここでは、腸内環境を改善することで得られる3つの効果について説明します。
- 便通が良くな
- 免疫力が向上する
- 太りにくくなる
それぞれ説明します。
便通が良くなる
腸内環境が良くなると、便通が改善されることに期待が持てます。
腸内環境が改善され善玉菌が優勢になると、腸の働きが活性化し便秘や下痢も起こりにくくなります。また、便通が悪化すると悪玉菌が増え、腸内に老廃物が溜まりやすくなりますが、便通が良くなることによって老廃物が蓄積されにくくなります。
腸内細菌は、食物の消化や栄養素の吸収を助ける役割を持ちますが、腸内環境を改善することにより、腸の動きも滞ることなく便がスムーズに排出されるようになります。
免疫力が向上する
腸内細菌のバランスにおいて、善玉菌が優勢になり腸内環境が改善されることで免疫力が向上すると考えられています。
体の免疫システムの約70%は腸管にあると言われるため、腸内環境を改善する事はとても重要な意味を持ってきます。腸内細菌が免疫を刺激することで、時には炎症を起こすこともありますが、過剰で不適切なものにならぬよう制御していることも分かっています。
太りにくくなる
腸内環境を改善することで太りにくくなるという効果も期待できます。前述しましたように、腸内環境が改善するとお通じもよくなることが分かっています。便通が整うと食事からの余分な脂質や糖分を体外に排出できるため肥満を防ぐことに期待が持てます。
また、腸内環境が改善されることで酢酸やプロピオン酸といった短鎖脂肪酸が産生され、肥満が抑制されることも研究によって報告されています。
日常生活で腸内環境を改善する方法
ここでは、日常生活で腸内環境を改善する4つの方法について説明します。
- 規則正しい食生活
- 適度に運動する
- 十分な睡眠をとる
- 起床後に水を飲む
それぞれ説明します。
規則正しい食生活
規則正しい生活は、腸内環境を改善できると期待できます。
ここでいう規則正しい食生活とは、栄養バランスのとれた食事を、1日3回取り入れることです。栄養バランスのとれた食事とは、善玉菌のエサとなる栄養素（野菜や果物など食物繊維を豊富に含むものや乳酸菌などを含む発酵食品など）が豊富で、高たんぱく・高脂質の肉中心で悪玉菌を増殖させる要因となるものを減らしたもののことです。
栄養バランスのとれた食事を心掛けることで悪玉菌の増殖を抑え、善玉菌を活性化させることができます。規則正しい食生活を送ることで、善玉菌と悪玉菌のバランスを整えて腸内環境を改善しましょう。
適度に運動する
適度な運動は腸の働きを活性化させる働きがあり、腸内環境の改善につながります。ただし、普段運動していない人がいきなり激しい運動を取り入れると、身体に負担がかかってしまうので、自分のペースに合わせて無理なく続けられるウォーキングや軽いジョギングを行なうようにしましょう。
適度に身体を動かすことで自律神経が整えられ、腸の蠕動運動が活性化されるようになります。何らかの要因で自律神経の働きが乱れると蠕動運動は弱まってしまい、便が排出されづらくなります。便が排出されずに腸内に長く留まると、便が硬くなってしまい便秘の原因となります。
便秘にならないようにするためにも適度な運動を心掛けて、自律神経の働きを安定させることが重要です。
十分な睡眠をとる
腸内環境をしたいのであれば、十分な睡眠によって脳を休ませなければなりません。
脳と腸は脳腸相関によって密接な関係があり、腸の働きは脳の状態に起因しているといえます。緊張して腹痛になるのは、脳腸相関による影響で、脳が感じたストレスが神経を通じて腸に伝わっているからです。睡眠不足の状態では脳はストレスを受けている状態であり、腸に悪影響を及ぼしかねません。脳腸相関によって睡眠不足の状態では腸内環境が乱れやすくなるので、十分な睡眠をとることで腸内環境の改善につながります。
水を飲む
水を飲むことが直接善玉菌を増やすことには繋がりませんが、水を積極的に摂ることで便の硬さを適度にすることができます。便の硬さが適度であれば、便秘を引き起こすリスクが減り、それによる腸内環境の悪化を防ぐことができると考えられます。
また、起床直後は腸の運動が活発になることから、朝の摂取は便通を安定させるのに良いタイミングと考えられるので習慣づけると良いでしょう。また、汗をかいた後にも水分を摂りたいので、入浴後もおすすめです。
腸内環境を改善するポイント
ここでは、腸内環境を改善する2つのポイントについて説明します。
- 善玉菌を積極的に摂取する
- 悪玉菌を増やさないように意識する
それぞれ説明します。
善玉菌を積極的に摂取する
腸内環境を改善するポイントとして、善玉菌を積極的に摂取することが挙げられます。
ほとんどの場合、腸内環境の乱れは善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れてしまうことによるもので、様々な症状に悩まされかねません。このような場合、ヨーグルトなど善玉菌が豊富に含まれた食品を積極的に摂ることによって、腸内環境改善を期待できます。
食事などから摂った善玉菌は、生きたまま腸まで到達するものもあれば、胃酸などで死んでしまうものもあります。しかし、たとえ死んでしまったとしても、健康に有用な作用があることが最近の研究では分かっています。
ただし、外部から取り入れた善玉菌は、長期間腸内にとどまることはできないため、腸内環境を続けて安定させるためには、継続的な摂取が必要となります。
悪玉菌を増やさないように意識する
腸内環境を改善するには普段の食事で悪玉菌を増やさないように意識することも重要です。
悪玉菌は脂質やタンパク質が多めな食事によって増殖しやすくなるので、それらを避けるなど、日々の食事を見直すだけでも改善できます。お肉中心の食事から野菜中心の食事内容を意識しながら、洋食や中華から和食中心の食生活に切り替えることで、腸内の悪玉菌の増殖を抑えることが可能になります。
腸内環境改善効果が高い食品
ここでは、腸内環境改善効果が高い3つの食品について説明します。
- 発酵食品類
- 食物繊維が豊富な野菜類
- オリゴ糖が含まれる食品
それぞれ説明します。
発酵食品
発酵食品は善玉菌を豊富に含んでいるため、腸内環境を改善する上で意識して摂取するのがおすすめです。
発酵食品に含まれる善玉菌は食品意外に、飲料にも多く含まれているものもあります。
善玉菌を含む食べ物には、
- キムチ
- チーズ
- 味噌などの発酵調味料
などが挙げられ、スーパーやコンビニでも簡単に手に入れられるものばかりです。毎日の食事に一品でもこれらの食品を追加することで、手軽に腸内環境の改善に貢献できるでしょう。
食物繊維が豊富な野菜類
食物繊維が豊富な野菜類は腸内環境を改善する上で欠かせない食品です。
食物繊維は消化管の消化酵素で分解されずに小腸を通過して、大腸にまで到達します。大腸に到達した食物繊維は便の体積を増やす材料になるだけでなく、大腸内の環境改善に必要な腸内細菌のエサにもなります。
食事には食物繊維が豊富なゴボウなどの根菜類を積極的に取り入れるようにしましょう。
オリゴ糖が含まれる食品
腸内環境改善効果を狙うのであれば、オリゴ糖が含まれる食品も欠かせません。
オリゴ糖は難消化性であり、消化酵素でほとんど分解されずに大腸に到達します。大腸に到達したオリゴ糖は大腸内の環境改善に必要な善玉菌のエサになり、善玉菌の増殖に役立ちます。大腸内で善玉菌が活性化することによって整腸作用をもたらし体全体の健康増進に有効です。
食事に甘みを付ける際には砂糖ではなくオリゴ糖を使用することで、意識せずに大腸内の善玉菌を増殖することが期待できます。
まとめ
今回の記事のポイントについて、最後にまとめると以下のようになります。
- 腸内環境が悪化することでお腹の不調や免疫力の低下が生じる
- 腸内環境を改善することで便通が良くなり免疫力が向上する
- 日常生活で腸内環境を改善するには規則正しい食生活と十分な睡眠を心掛ける
- 腸内環境を改善するには積極的に善玉菌を摂取して悪玉菌を増殖させないように意識する
- 発酵食品類や食物繊維が豊富な野菜は腸内環境を改善するのに有効
腸内環境は免疫力に影響するため、感染症をはじめ様々な病気にかかるリスクを減らすためにも改善することが重要です。
腸内環境を改善するには善玉菌と悪玉菌のバランスが重要であり、善玉菌を優勢にしなければなりません。日頃の生活スタイルによって善玉菌を増やすことも可能なので、食事や軽い運動などの毎日のことから見直しましょう。
腸内環境を良好にすることで、健康や美容面でもさまざまな効果を感じられるようになります。
食後にはヨーグルトを食べるなど、ストレスなく継続できる自分なりの方法を見つけることが腸内環境を良好に保ち続けるコツだと思います。
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