便秘で腹痛と吐き気を経験したことはありませんか。
現在進行形で腹痛と吐き気がある場合は、まずは病院へ行くようにしてください。その上で医師の意見を取り入れながら次のことを試してみましょう。
・楽な姿勢をとる
・便が柔らかくなるよう水分補給
・食物繊維を摂る
過去に同様の症状があった方は便秘を避けるために次のことを心がけましょう。
・生活リズムを整える
・散歩などの運動をする
・腸内環境を整える
本記事では便秘でなぜ腹痛と吐き気が起こるのか。
前述の対処法と便通の改善が期待できる方法を合わせて解説します。
たかが便秘と軽く考えるのは危険です。特に腹痛や吐き気を伴う便秘では、緊急の処置が必要な場合があります。まずは医師などの専門家と相談し、その指導を仰ぎながら自分でもできる改善方法を試みてください。
目次
便秘で腹痛が起こるのはなぜ?
お通じの異常(便秘・下痢)で数日にわたり腹痛や腹部不快感が続いていませんか。
続く場合には「過敏性腸症候群」という病態が疑われます。
通常の内視鏡検査などで腸の異常が認められず、精神的ストレスや自律神経失調、生活習慣が原因で慢性的な腹部の膨張感や腹痛があります。
腸内の神経が知覚過敏状態になっているといわれています。
男性より女性に多く、男性は下痢型、女性は便秘型が多いといわれています。
・過敏性腸症候群の診断基準
期間として6ヶ月以上前から症状があり直近3ヶ月の間に月に4日以上にわたって腹痛や腹部不快感が起こり、下記の2項目以上の特徴を示します。
1.排便によって症状がやわらぐ
2.症状とともに排便の回数が変わる(増えたり・減ったり)
3.症状とともに便の形状が変わる(柔らかくなる・硬くなる)
他にも腹痛の原因と考えられる便秘について取り上げます。
ガスがたまる
唾液を飲み込む際に一緒に空気を飲み込みます。
空気はお腹にガスが溜まる1つの原因です。
ストレスは、唾液を飲み込む回数を増やす要因となるため、ガスを減らすにはストレスの緩和が大切です。
寝ている間は唾液を飲み込まないため朝にはガスは消失しますが、日中のストレスで再び増加します。
病院に行く日は会社や学校へ行かない、もしくは途中で抜けて来ることから普段のストレス源から回避され、お腹にはガスがあまり溜まっていないことが多いです。
腸内細菌による発酵でもガス(メタン・水素)が発生します。
多くはFODMAP(フォドマップ)といわれる、発酵性の高い炭水化物の摂取が、急速に腸内細菌の発酵を促してしまい、ガスが溜まることで、腹部膨満、痛みなどを引き起こす原因になります。
ストレスではなく食事により起こりえるので平日・休日関係なくガスが溜まった状態になります。
便秘で吐き気がする理由は?
便やおならが出ない場合は「イレウス(腸閉塞)」という病気が疑われます。
イレウスは何らかの原因で腸内が詰まる病気です。
過去に開腹手術をしたことによる癒着から起こることが多いですが、噛む回数が不足していたり、消化の悪い物を食べた場合でもまれに詰まりが起こります。
詰まりにより腸管が拡張し、詰まりが徐々に口側に向かってくるため腹部膨満感・吐き気が起こるのです。
腸内にたまったガスなどで圧迫される
圧迫される原因となるものは、食べ物のほかに、消化液や前述した腸内細菌による発酵で発生するガスによるものがあります。
通常、消化液は腸内で徐々に吸収され最終的にはわずかな不要物のみが排出されますが、腸管が塞がると消化液も吸収されずに溜まってしまいます。
これらが腸管の拡張、腹部膨満感・吐き気を引き起こします。
便秘時の腹痛・吐き気の対処法
便秘時に腹痛・吐き気の軽減に期待できる方法をご紹介します。
楽な姿勢をとる
便秘知らずな方は特に何も意識せずとも快便かと思いますが、便秘の方はそうもいきません。
実は、排便するための楽な姿勢があります。
おしりとおしりから入ってすぐの腸(直腸)は、座る際に正しいといわれる背すじを伸ばした姿勢をしていると、おしりと直腸が鋭角に折り曲がっている状態になっています。
便秘な方はその姿勢だと簡単に便が出せません。
便秘の時ほど、排便の際に意識しないうちに前かがみになっていることが多くありませんか。
その前かがみこそが排便時の姿勢として理想の姿勢です。
正しくは背すじを伸ばして前かがみになることです。
少しわかりにくいという場合はロダンの「考える人」というブロンズ像をイメージしてください。
直腸と肛門がまっすぐになり、踏ん張った力が肛門に伝わりやすくなり肛門を緩めることができます。
便が柔らかくなるよう水分補給
1日の水分摂取量が500ml以下だと排便量は減少し、便秘になる可能性があるといわれています。
あまり水分を摂っていない場合の水分補給は便秘改善に効果があるとの研究報告があります。
不足していると感じた場合は水分をとりましょう。
便がやわらかくなり、排便がしやすくなります。
食物繊維を摂る
食物繊維は小腸で消化・吸収されずに大腸まで達するお腹の調子を整える食品成分です。
食物繊維は水に溶ける水溶性食物繊維と不溶性植物繊維の2種類あります。
水溶性食物繊維は腸内の善玉菌を増やしたり、便をやわらかくします。
不溶性食物繊維は便の量を増やして腸管を刺激し、腸の運動を活性化させ、便通を整える働きをします。
特定保健用食品で「おなかの調子を整える食品」として認められている成分の多くは食物繊維であり、同じく食物繊維を含む機能性表示食品の中には、便通を改善してお腹の調子を整えることが報告されているものがあります。
食物繊維の摂取ですが、日本人の食物繊維摂取量はほとんどの方が不足しているといわれており、食物繊維の摂取目標量は18〜64歳の男性で1日あたり21g以上、女性で18g以上とされています。
十分な摂取ができない場合はトクホや機能性表示食品などで補うのもおすすめです。
食物繊維を手軽にとりたい方は、主食の穀類からとりましょう。
玄米などを食べると、効率的に食物繊維を摂取できます。
野菜、果実、きのこなどにも多く含まれます。
食品でいうと次のものです。
食物繊維を含む食品の一例 | ||||
そば | ひじき | しらたき | モロヘイヤ | 切り干し大根 |
かぼちゃ | おから | たけのこ | 椎茸 | キャベツ |
ブロッコリー | バナナ | レタス | トマト | キウイ |
パイナップル | いちご | ピーナッツ |
これらは毎日の食事の中に積極的に取り入れましょう。
便通の改善が期待できる方法
規則正しい食事や運動を取り入れた生活習慣の改善、腸内環境を整えることを意識した食物繊維やビフィズス菌、オリゴ糖を含んだ食品の摂取により便秘気味の方の便通改善が期待できます。
便通を改善するうえで効果的と思われる方法を3つご紹介いたします。
生活リズムを整える
便通において生活習慣の改善は基本です。
1日3食を規則正しく摂取します。
特に朝食の摂取は体内のリズムを整え、胃腸を刺激して排便を促します。朝食後にトイレに座る習慣をつけましょう。
そうすると排便習慣を整えやすくなります。
規則正しい生活を心がけ、生活リズムを整えることで自律神経が整い、排便習慣をスムーズにします。
また、便意を我慢せずに便意を感じた時にトイレに行くようにすることも大切です。
排便を我慢すると便意を感じるセンサーが鈍くなり、便秘になってしまうことがあります。
散歩などの運動
適度な運動は腸の動きを活発にします。
健康な身体を作るという上でウォーキングも有効ですが、便通にはテニスやゴルフなど体をひねる運動が特に効果的です。
体をひねることが腸を刺激します。
腸内環境を整える
人の腸内細菌は善玉と悪玉、どちらでもない中間の菌の3グループで構成されています。
これらの菌は絶妙なバランスを保ち、中間の菌が1番多く、続いて善玉菌、悪玉菌です。
体の健康には腸内にビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が占める割合を増やすことが重要です。
善玉菌は食中毒菌や病原菌による感染予防や、発がん性をもつ腐敗産物を抑制する腸内環境を作ります。
さらに腸内でビタミンを生成するとともに、体の免疫機能を高め、血清コレステロールを低下させるなどの働きも期待できます。
悪玉菌はたんぱく質や脂質が中心の食事、ストレスや加齢が原因で増えます。
年配の方に便秘が増えるのは悪玉菌の増加によるものが原因の一つと考えられます。これは、加齢にともなう運動量の減少、大腸や粘膜の萎縮、大腸の働きの低下などが腸内環境の変化に影響しているようです。
健康的な腸内はビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が優勢であり、善玉菌は乳酸や酢酸、酪酸を作り腸内環境を良好に保ちます。
善玉菌はアルカリ性が嫌いで酸性を好み、悪玉菌は酸性が嫌いでアルカリ性を好みます。
腸内を酸性にすることで、悪玉菌の増殖を抑えて腸の運動を活発にします。
腸内の善玉菌を増やす方法は大きく分けて2通りです。
・プロバイオティクスを直接摂取する
生きた善玉菌です。
食品ではヨーグルト、乳酸菌飲料、納豆、漬物などのビフィズス菌や乳酸菌を含むものです。
これらの菌は腸内である程度の期間は滞在してくれるものの、住み着くことはないと考えられています。
そのため、毎日摂取して腸に補充することをおすすめします。
・プレバイオティクスを摂取する
食品成分としては食物繊維・オリゴ糖であり、消化・吸収されることなく大腸に到達し、善玉菌のエサとなります。オリゴ糖が配合された機能性表示食品の中には、おなかの中の ビフィズス菌を増やして、腸内環境を良好にし、便通を改善することが報告されているものがあります。
一般食品ではバナナ・ブロッコリーなどに多く含まれます。
ただし急にオリゴ糖を摂取すると下痢を起こすことがあります。
1回の量を数回に分けて摂取する、または1日の摂取量を減らして数日間かけて摂取する方法があります。
腸内細菌をオリゴ糖に慣れさせてあげましょう。
腸内細菌が好ましい状態であるかを知る最も簡単な方法は日頃から便を観察することです。
善玉菌がたくさん酸を作っていると、においがあっても臭くなく、柔らかいバナナ状です。
逆に黒っぽい色で悪臭がある場合は、腸内細菌のバランスが悪くなっているので改善が必要です。
まとめ
便が出ずに吐き気をともなっていたり、便秘が長期間において繰り返し起こる方は病気を疑い医師に相談するようにしましょう。
そして、医師の指導のもと、自分でできる取り組みとして便通を安定させるには生活習慣の見直し、身体をひねる運動、腸内環境の改善などがポイントになります。
食生活の改善を図っても十分な食物繊維・オリゴ糖・ビフィズス菌や乳酸菌を摂取できない場合は、トクホや機能性表示食品などを活用するのもおすすめです。