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2023/10/11

玄米が便通に効くって本当?栄養素と効果について紹介します

皆さんは玄米が健康にとても良いことを知っていましたか?玄米は便秘気味の方の便通改善に効果があり、また栄養素の面でも、とてもおすすめの食材の一つです。この記事では玄米のお腹の調子を整える作用や栄養面など、私たちにとって有効な部分を中心にご紹介していきたいと思います。

1.玄米とは?

玄米は、稲の実からもみ殻だけを取り除いた状態のお米のことです。つまり、ぬかや胚芽はそのまま付いています。一方、私たちが良く口にする白米は、稲の実からもみ殻・ぬか・胚芽を奇麗に取り除いたお米を指します。

また玄米にはビタミンやミネラルといった副栄養素が豊富に含まれているため、白米を玄米に替えて主食として食べると、おのずと副栄養素をたっぷり摂取できます。つまり、玄米は栄養がとても豊富で、玄米だけで「主食+栄養豊富なおかず」とも言え、両者を同時に摂取できる優れた食品です。

2.玄米に含まれている栄養素

https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=01_01080_6

ここからは、玄米に含まれている栄養素についてご紹介していきます。どのような栄養素が含まれているのか、しっかりチェックして日常生活で役立ててくださいね。

2-1.ビタミンB1

ビタミンB1は別名をチアミンといい、糖質をエネルギーに変えて代謝するために必要な各種酵素の補助因子として不可欠な栄養素です。このビタミンB1が欠乏すると、倦怠感・食欲不振・浮腫などを伴った脚気・ウエルニッケ脳症・コルサコフ症候群などが引き起こされることが知られています。玄米には100gあたり0.41㎎のビタミンB1が含まれています。

2-2.マグネシウム

マグネシウムは人体に欠かせないミネラルの一つで、骨の形成や代謝を助ける役割を持ちます。骨の弾性維持・細胞のカリウム濃度の調節・細胞核の携帯維持に関わる栄養素で、細胞がエネルギーを蓄積・消費するときに必要不可欠な成分です。

多くの生活習慣病・アルコール中毒患者の体内の細胞内からマグネシウムが低下している現象がみられ、さらに腎機能が低下すると「低マグネシウム血症」となる恐れがあります。マグネシウムは玄米100g中に110mg含まれている成分です。

2-3.食物繊維

食物繊維は「人の消化酵素で分解されない食物中の総体」と定義されており、水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維とに分けられます。食物繊維は、小腸で消化・吸収されずに大腸まで到達する食品成分で、便秘が気になる方のための整腸効果のみならず、血糖値上昇の抑制・血液中のコレステロール濃度の上昇抑制などの効果があることが報告されています。玄米100gあたりに3.0gの食物繊維が含まれているため、便秘気味の方に効果があるのもうなずけますね。

2-4.その他ビタミンE、GABAなど

玄米に含まれているその他の主要な栄養素として、ビタミンE・GABAなどが挙げられます。ビタミンEはホルモンの分泌を促す作用の他、抗酸化作用・血行促進など、体調を整える働きがあることで知られています。

またGABAは、様々な動物や植物に含まれています。ガンマアミノ酪酸の略称(Gamma AminoButyric Acid)で、私たちの体内に普段から存在しているアミノ酸の一つです。特に脳や脊髄で精神を安定させる抑制性の働きを担い、交感神経の働きを抑制し、一時的な精神ストレスを緩和したり、睡眠の質を整えたりする効果が報告されています。

3.食物繊維の水溶性と不溶性

先ほども少し触れましたが、ここでは食物繊維の水溶性と不溶性の違いについてご紹介していきたいと思います。まずは水溶性食物繊維から順に見て行きましょう。

3-1.水溶性食物繊維

水溶性食物繊維にはペクチン・グルコマンナン・アルギン酸・アガロース・アガロペクチン・カラギーナン・ポリデキストロースなどがあります。これらは腸内の善玉菌を増やしたり、細胞のエネルギー源となる短鎖脂肪酸を生み出す手助けをしたりなど、腸内環境を整える働きがあることで良く知られています。

水溶性食物繊維は、食事に含まれる糖やコレステロールの吸収を遅らせる働きがあるため、食後の血糖値や血中中性脂肪の上昇を穏やかにする作用があることでも良く知られています。

3-2.不溶性食物繊維

不溶性食物繊維はセルロース・ヘミセルロースなどがあります。水に溶けずに水分を吸収して膨らむため、大腸の中で便のカサを増やし、大腸を刺激してぜんどう運動を活発化させ、腸の働きおよび便通を整える役割を担っています。

3-3.水溶性・不溶性食物繊維の両方をバランスよく摂る事が大切

食物繊維が不足すると、腸内環境が悪化し便秘になりやすく、糖尿病などの生活習慣病になるリスクも上昇します。日本人は食物繊維の摂取量が不足気味と言われているため、意識して水溶性・不溶性ともにバランスよく食物繊維を摂取することが大切です。その一方、食物繊維のサプリメントなどを利用する場合は、摂りすぎてしまうと他の栄養素の吸収を妨げたりする可能性が否めないため、パッケージなどを確認し摂取量を守るようにしましょう。

4.便通を良くするには食物繊維を摂ることで改善する?

ここからは、なぜ食物繊維を摂取すると便秘気味の方の便通が良くなるかについて順にご紹介していきたいと思います。分かりやすく解説するので、読み進めていってくださいね。

4-1.便秘の定義

便秘とは「本来体外に排出すべき糞便を十分な量かつ快適に排出できない状態のこと」と定義づけられています。また便秘症とは「便秘による症状が現れ、検査や治療を必要とする状態のこと」とされています。

慢性の便秘症は、主に大腸の病気からくる「器質性」と、病気ではないものの排便機能に支障をきたしている「機能性」の2つに大きく分けられます。さらに症状によってどちらも「排便回数減少型」と「排便困難型」と細分されます。「排便回数減少型」は文字通り、排便の回数が少なくなるタイプです。学術的には、排便回数が週3日未満の場合に便秘とされます。「排便困難型」は、排便時に直腸内の便を十分量かつ快適に排出できず、残便感を感じるタイプの便秘です。機能性便秘はそこからさらに原因となる疾患により、「大腸通過正常型」「大腸通過遅延型」「機能性便排出障害」に分類されています。

4-2.食物繊維の適量とは

ヒトが快適な便通のために摂取すべき食物繊維の量とは一体どれくらいなのでしょう?便が大腸を通る通過時間は正常なのに、排便回数や排便量が少ない「大腸通過正常型便秘症」で悩まされる人が多く見られます。この症状は、食物繊維の摂取不足が原因のことが多く、食物繊維の摂取量を適正化することで改善されることが多いとされています。

食物繊維の食事摂取基準(2020年版)では、食物繊維の摂取目標の量は18~64歳の男性で1日あたり21g以上、女性で1日あたり18g以上とされています。適切な量の食物繊維を摂取するだけで便秘気味の方の便通が改善することもあります。毎日の食事に果物・繊維の柔らかい野菜(人参・キャベツなど)・海藻類・根菜類・きのこ類・繊維の硬い野菜・豆類など、様々な食物繊維をしっかり食べるように心掛けてください。

一方、大腸通過遅延型便秘症・便排出障害では、食物繊維の摂りすぎはかえって症状を悪化させる恐れもあるため注意が必要です。

5.現代の日本人は食物繊維の摂取量が減ってきている

1950年頃の日本人の食物繊維摂取量は平均して一人当たり一日20gを超えていましたが、穀類・イモ類・豆類の摂取量の減少に伴い、食物繊維の摂取量も減少傾向が続いています。食物繊維は身体に絶対必要不可欠な栄養素ではありませんが、身体の健康状態を保つ上で重要な食品成分です。そのため、食物繊維は積極的に摂取するようにしましょう。

欧米の研究報告では、一日24g以上食物繊維を摂取することで、心筋梗塞・脳卒中・2型糖尿病・乳がん・胃がん・大腸がんなどの発症リスクの低下がみられると発表されました。食物繊維を含む野菜などは、体内でコレステロールから作られる胆汁酸を便として体外へ排出する作用を促進させ、血中コレステロール値を下げる働きがあります。また食後の糖の吸収を緩やかにし、血糖値の急激な上昇を抑える作用もあります。

さらに便の量を増加させると共に、腸内の腸内細菌のうち、ビフィズス菌・乳酸菌などの善玉菌の割合を増やし、腸内環境を良好に整える働きも担っています。食物繊維の量が十分かどうかを計る一番簡単な目安として、「一日に一回、規則的に排便がある」ことが挙げられます。

もし食物繊維の摂取量が足りていないかもしれないと思った方は、今までよりも一日あたり3~4g多く摂ることを目標にしてみてください。食物繊維は魚介類や肉類などにはほとんど含まれておらず、その代わりに主食の穀物に多く含まれています。そのため、一日のうち一食を玄米ご飯・麦ごはん・胚芽米ご飯・全粒小麦パン等に置き換えることで、効率的に食物繊維を摂取できます。

食物繊維が多く含まれている食品は、そば・ライ麦パン・しらたき・さつまいも・切り干し大根・かぼちゃ・ごぼう・たけのこ・ブロッコリー・モロヘイヤ・糸引き納豆・インゲン豆・あずき・おから・しいたけ・ひじきなどです。これらは一食あたりの摂取量中に2~3gの食物繊維が含まれているため、食事に摂りいれることで簡単に摂取量を増やすことができます。

6.玄米を食べることで便秘気味の方の便通が良くなる

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jafps/41/6/41_273/_pdf

食べやすいよう表面加工された市販の玄米を用いたいくつかの臨床試験の結果、有害事象が見られなかったことに加え、便通改善の効果が確認されました。同じような研究は韓国や台湾でも行われましたが、いずれも便通改善の効果がみられたという結果が報告されています。また玄米を継続して長期間食べても有害事象がみられなかったことから、玄米は身体に大変良い食物であるといえます。

6-1.便通以外にも血糖値の上昇を緩やかにする効果が期待できる

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/wdc2013/201312/534047.html

玄米食を摂取することは、2型糖尿病発症の減少に関係があり、白米を摂取することで糖尿病の発症リスクが高まることが分かっています。白米摂取量の3分の1を玄米に置き換えることで、2型糖尿病のリスクは16%低下し、全ての量を玄米に置き換えると36%低下すると試算されました。

また玄米食に多く含まれる食物繊維には、肥満の抑制や血糖値の上昇を緩やかにする作用があることが知られています。玄米食は歯ごたえがあるためしっかり噛む必要があり、消化吸収が遅いことや食物繊維を多く含むことなどから、白米に比べて食後血糖値の上昇を示すGI値が低く出ます。

一度の玄米食の摂取だけでも、食後血糖・インスリン分泌のカーブを緩やかにする作用があることが分かっています。また、太り気味の方では、玄米食が血糖値の上昇度合いを緩やかにすることで、高インスリン血症を抑制し、肥満を改善する可能性があることが報告されています。

玄米には、白米にはない様々な成分が存在し、特に高濃度で含まれる成分として「γ-オリザノール」が挙げられます。γ-オリザノールは、天然食品の中では米ぬかにほぼ特異的に含まれる成分で、血中の中性脂肪や総コレステロールを低下させる機能が報告されています。

7.まとめ

この記事では、玄米を摂取すると便秘気味の方の便通が改善される可能性があるという事柄を中心にお話してきましたが、いかがでしたか?玄米には副栄養素として「ビタミン・ミネラル・食物繊維・酵素」がふんだんに含まれています。

これらの玄米に含まれる豊富な服栄養素を摂取することで、食べたものをしっかり代謝し、身体に蓄積された余分なものも代謝と共に排出してくれるため、健康に良い効果が期待されます。

また玄米は消化吸収が緩やかに行われるため腹持ちがよく、間食が減るなどの嬉しい効果もみられます。玄米は白米のカロリーはほぼ同じですが、含まれている栄養素は数倍から十数倍もの違いがあります。同じカロリーなのに消化・代謝の面で健康に良い作用があるということは、私たちの健康にそれだけ貢献してくれる食物であると言っても過言ではありません。

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