コロナ禍における生活環境の変化や健康を見直す意識の高まりなど、健康維持について改めて考え直す機会があった人も多いのではないでしょうか。
今回は免疫を高めるメリットや方法について紹介します。併せて免疫を下げてしまう原因も紹介するので、今日から始められること、辞めることを決めて実践していきましょう。
目次
免疫とは?
私たちはいつもウイルスや細菌と一緒に暮らしています。またホコリや汚染物質といった体に害を与えるものとも離れることはできません。そんな生活の中で生きていけるのは、私たちの体が防御システムとしての免疫力を持っているからです。
健康的な状態では、免疫が正常に機能して外敵に対する防御システムが機能します。しかし、免疫が低下すると体調を崩しやすくなり、思わぬトラブルを招きかねません。
免疫を高める方法は後述しますが、免疫は高めれば高めるほど体にいいというわけでもありません。多少なりともアップダウンの変化があったとしても、全体的に安定しているのが理想。というのも、免疫は上がりすぎると、免疫機能が体内の健康な細胞を攻撃してしまうこともあるためです。
また、免疫を高める方法を紹介するにあたって、免疫について意識する機会を増やすこともおすすめします。ダイエットであれば、継続や努力を数字として確認することが可能です。けれども免疫は現状を把握することが難しく、低下など変動の目視もできないので、免疫力を高めることについて意識が薄れてしまいがち。免疫を高めれば健康を維持することに繋がり、ひいては快適な生活にも直結します。
免疫を安定させることはメリットしかありません。免疫が下がって体調を崩しがちな人や、免疫を安定させて快適に生活したい人は、取り入れやすい方法からスタートしていきましょう。
コロナ禍でもできる免疫を高める方法
免疫を高める、または安定させるために重要なポイントはズバリ「健康的な生活を送ること」です。具体的には栄養バランスを意識した食生活を送る、決まった時間に寝て起床する生活リズムの習慣化、適度な運動と心身ともにリラックスできる休息などが挙げられます。
コロナ禍でテレワークや外出自粛など生活習慣が変わってしまった人も多かったでしょうが、活動的な時間と休息をとる時間、動と静のメリハリをつける工夫を取り入れてみてください。
免疫対策として優れた食材
毎日の食事で意識したいのが、免疫対策として優れた食材を選ぶこと。例えばビタミンやミネラル、乳酸菌などは免疫をサポートする食材です。例えば次のような食材があります。
● ビタミンAが豊富なほうれん草や卵、レバー
● ビタミンCを摂取できる野菜や柑橘系の果物
● ビタミンEが豊富で効率よく摂取できるアボカドやナッツ類
● 亜鉛などのミネラルが豊富な牡蠣や鰹節
● 良質なたんぱく質を摂取できる大豆食品
● 乳酸菌を摂取できる乳製品
例えばミネラルの一種である亜鉛が不足すると免疫機能が低下することが知られています。亜鉛は、免疫システム全般を制御する樹状細胞に影響を与えたり、抗体の産生を促し抵抗力の向上につながります。上記の食材はどれも栄養価が高く、免疫対策以外の健康維持においても効果が期待できます。
免疫対策として優れた飲み物
免疫対策として優れた食材は飲み物として摂取するのもお手軽にできる方法です。
免疫対策の食材としてビタミン群やミネラルが重要であることは前述しましたが、その他、腸内環境を整える食物繊維なども積極的に摂取しておきたい成分。野菜ならばさつまいもやじゃがいも、ごぼう、玉ねぎ、はすなどがあります。果物であればバナナやみかん、パイナップルなどです。
しかし、これらの食材を3食でしっかり摂るのは難しいと感じてしまう人もいるのではないでしょうか。食材を組み合わせてレシピを選ぶ作業も大変です。
そこで、ここまで紹介した野菜や果物を、1度に多くの種類を摂取できる方法としてスムージーをおすすめします。良質なたんぱく質を摂取できる豆乳をベースに緑黄色野菜や果物を入れて、氷といっしょにミキサーにかけるだけで完成するお手軽さと、一度に多くの食材を摂取できる効率の良さから大人気。免疫対策ができるだけでなく健康や美容でも根強い人気を誇る飲み物です。
抗酸化作用をもつポリフェノールが含まれた緑茶や紅茶、赤ワインを好みの味の範疇でプラスするのもいいでしょう。調理や下ごしらえも手間がかからず、料理が苦手な人でも始めやすくおすすめです。
適度な運動を習慣にする
免疫を高めるには運動も関わってきます。そもそも運動をすることは、免疫のみに関わらずさまざまな身体不調の改善効果が期待されます。精神的なリフレッシュ効果も望めることから、健康を維持したい人や体の不具合を軽減させたい人は、無理のない範囲で適度な運動をするのがベスト。
ストレッチなどの適度な運動は体温が上がりやすく、副交感神経が優位になります。リラクゼーション効果もあるため免疫を下げる要因の回避にも繋がっていると考えられます。
運動不足気味で体力に自信がない人、仕事が忙しくまとまった時間が取れない人は普段の生活でできることから始めましょう。目的地の駅から少し手前で降りて1駅分の歩く時間を作る、エレベーターではなく階段を使うなどお金や手間をかけずにできる運動があります。
ちなみに、活動時間が長かったりや運動量が大きいハードな運動の場合、一時的に免疫を下げてしまう場合があります。ハードなスポーツの類は血液中のNK細胞・T細胞の数や機能、唾液中のIgA濃度などが一時的に低下し、ストレスホルモンなどが産生されることで感染に対する防御力が低下してしまうのです。ですから、免疫ケアが目的で運動をする場合は、強度の運動は避けて体の負担が少ない軽めの運動を続けるようにしてください。
笑う時間を作る
笑うという行動は心が楽しくなるだけでなく、体にもいい影響を与えるという研究結果が多くあります。実は免疫を高めるにも、笑う時間を作ることが有効的に作用するといわれていることをご存じでしょうか?
人の体は笑うという行動を起こした時、自然免疫の中心的役割を果たすNK細胞の活性が上がります。NK細胞は、体内に入り込んだウイルスに感染した細胞などをいち早く見つけ攻撃・殺傷するという大切な役割を担っています。落語を聞く前と後を比較した時、聞いた後ではNK細胞の活性が高まったという研究結果が出ており、免疫を高める要因の1つになるのです。
あなたが笑顔になれることは何でしょうか。友人と話す、好きなお笑い芸人の映像を観るなど、自分が笑顔になれる時間を作って心身ともにリフレッシュし、同時に免疫も高めていきましょう。
ストレス発散を心がける
ストレスは万病のもとと言われていますが、免疫に関しても例外ではありません。生体がストレスにさらされると、交感神経が緊張し、それが長い期間に及ぶ場合は、心身ともに疲れ、ストレス性の潰瘍ができたりリンパ節が萎縮するなどと、免疫の働きが低下してしまうのです。
普通に生活しているだけでさまざまなストレスの原因と遭遇してしまうので、ストレスを溜めずこまめに発散することも大切です。スポーツや趣味を楽しむ時間を作ったり、美味しいものを食べたり友人と会って話をするなど、自分に合った方法を見つけて実践して免疫を高めてください。
サプリメントも活用する
免疫対策としてサプリメントも検討してみましょう。例えば腸内環境に働きかける乳酸菌サプリメントは人気があります。
人の腸内には多種多様な腸内細菌が100兆以上も住んでおり、健康を支えています。健康を害する細菌が侵入したり増殖し始めると、腸内細菌が察知して免疫細胞を刺激する仕組みになっており、免疫を高めたり維持したりするには腸内細菌の種類や数などバランスが整っている必要があり、乳酸菌は悪玉菌の増殖を抑えるなど腸内環境に寄与するのです。
また、チーズやヨーグルトの発酵に使われる乳酸菌の一つで、免疫機能に直接働きかける乳酸菌として注目を集めているものにプラズマ乳酸菌があります。このプラズマ乳酸菌を機能性関与成分として届出た機能性表示食品は、健康な人の免疫機能の維持に役立つことが報告されています。
プラズマ乳酸菌は、プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)という免疫細胞を活性化させることが分かっています。このpDCは免疫機構の司令塔役として免疫細胞全体を活性化させることで、外敵に対する防護システムを機能させるといわれています。
現在は、サプリタイプのものやドリンクタイプなど様々な形態の商品がありますので、自分に合ったタイプを選択すると良いでしょう。
免疫力を下げないためのポイント
免疫を高める方法と併せて、免疫力を下げないためのポイントも知っておきましょう。どのポイントも、免疫の維持だけでなくその他の不調も回避することにも繋がります。お金をかけず今日からでもできる方法ばかりなので、今日にでもスタートして習慣づけましょう。
体を冷やさない
ストレス同様、冷えも万病のもととされています。たかが冷えと軽く考えてはいけません。体温が1度下がっただけで、体内酵素の働きが50%、基礎代謝は12%、そして免疫力は37%も下がるといわれているのです。健康を損ねかねない要改善項目でもあるのです。
日本人の適正な体温は約36.5度、体の内部温度で約37度といわれています。低体温といわれるのは36度未満になります。いつでも簡単に体温を測れるように手元に置いてこまめにチェックすると良いでしょう。
偏食しない
特に自身の体重や健康状態を気にしやすい女性にとって、ファストフード連続の日々は避けたいもの。偏食の癖がある人は、適量の脂肪とたっぷりの食物繊維を心がけ、偏食による腸内細菌のバランスの悪化を防ぎましょう。前述した免疫力対策として優れた食材の一覧を参考に、バランスのいい食事をとれるよう工夫しましょう。
適度な睡眠をとる
睡眠は心身の健康にとって重要な要素であることは、誰しもが身をもって理解していることでしょう。ただし、睡眠の時間については気をつけたほうがよさそうです。大学生の睡眠時間と健康に関する調査で分かったことは、睡眠時間は短くても長くても、健康にとってはマイナスだということです。免疫系、自律神経系、内分泌系など、いずれにも良いとされる睡眠時間は6~8時間でした。ちょうど良い睡眠時間というのは、個人差もあると思いますが、この研究結果を一つの目安としてください。
二度寝や夜更かしは避ける
毎日しっかりと眠ることも免疫維持に欠かせない要素です。スマホやタブレットの登場、インターネット通信の快適化によってついつい夜更かしをしてしまう人も多いと思いますが、夜更かしは副交感神経が優位になりにくく、寝て免疫を高めるはずの時間帯に免疫が低下してしまいます。その結果、翌日の朝には回復しているはずの免疫力が整わず、体調を崩しやすくなってしまうのです。
また、朝が苦手な人や夜更かししてしまった日には、朝寝坊や二度寝をしてしまう人もいるでしょう。起床時のリズムが悪いと交感神経へのシフトがスムーズにいかず、日中に整えられるはずの免疫機能がうまく作用しない事態にもなりかねません。
健康的な活動リズムを整えることは、免疫を高める観点からも重要なポイントなのです。
まとめ
今回は免疫を高めるメリットや方法について紹介しました。免疫の特徴や作用する仕組み、免疫を下げてしまう原因も知っておけば自然と自分が何をすべきで、何をすべきでないかが見えてきたのではないでしょうか。
特に今回紹介した免疫を高める方法は、誰でも今日からできるものばかりです。特別な準備や物は必要なく、一気に全てを取り入れることは難しくても、1日1つずつ取り入れていけるはずです。
コロナの収束もまだ見えそうにない現代で、免疫を高めて健康な体を目指し、日々の快適度を高めていきましょう。