日頃から足の疲れを感じている人の中には、むくみによる不快感に悩んでいる人もいるのではないでしょうか。むくみは誰にでも起こり得る症状なので、不快感を回避するためには、むくみを引き起こさないように予防する必要があります。日常生活でむくみによる不快感を解消するにはマッサージがおすすめです。
ただし、むくみには隠れた病気が原因になっている場合もあります。むくみが長く続く場合は医師などに相談することをおすすめします。その上で自分でもできる取り組みを行ってください。
今回は、むくみの原因や種類、マッサージによる解消効果について解説します。むくみ改善に興味がある人は、ぜひ参考にしてください。
目次
むくみの原因
むくみは、身体の組織の間の部分に余分な水分が溜まり続けて、異常に増加した状態のことを指します。体内の水分は細胞内液と細胞外液のバランスによって、細胞間の栄養輸送や老廃物の除去機能を正常に保っています。このバランスが崩れることで細胞間に水分が溜まるようになるので、バランスを正常に保つことが重要です。特定の病気や薬物以外で考えられる主なむくみの原因には次のようなものがあります。
- 塩分の過剰摂取
- アルコールの飲み過ぎ
- 生活習慣
それぞれ説明します。
塩分の過剰摂取
塩分の過剰摂取により、むくみを引き起こしやすくなります。塩分にはナトリウムというミネラルが含まれており、体内の水分量や浸透圧の調整に利用されています。ナトリウムが過剰になると、それを薄めるために水分が必要となり、体は水分を蓄えようとします。これにより、毛細血管から体の細胞の間にある液体(間質液)への水分の移動量が増え、むくみを引き起こします。
アルコールの飲み過ぎ
アルコールを飲み過ぎることで血管内の水分が浸み出しやすくなるので、むくみを引き起こしやすくなります。アルコールで血管内の水分が浸みだすのは、アルコールの血管膨張効果により動脈側の毛細血管の血管透過性が進むからです。アルコールの摂取によって喉が渇きやすくなり、多量の水を飲むこともむくみの原因です。アルコールの影響で血管内の水分が浸み出しやすく、飲んだ水が血管外に出るようになります。アルコールの飲み過ぎは必然的に水を飲むことにもなるので、むくみを誘発させる悪循環だといえるでしょう。
生活習慣
生活習慣によってむくみが生じるのは、3つの要因があります。
- ストレス
- ダイエット
- 姿勢
それぞれ説明します。
ストレス
睡眠不足などの不規則な生活習慣でストレスが溜まり続けることにより、自律神経が乱れてしまいむくみやすくなります。ストレスにより自律神経が乱れることで体内の水分バランスが崩れてしまい、むくみの原因となります。むくまないようにするためには、自分なりのストレス発散法を見つけておくことが重要です。
ダイエット
ダイエットで過度な食事制限を行なうことで、むくみの原因となることがあります。食事制限でたんぱく質の摂取量が低減することによって血液中のアルブミン(たんぱく質)量も減少し、細胞間の水分が血管中に引き込まれにくくなり、水分が溜まりやすくなるのでむくみやすくなります。ダイエットを行なうのであれば、食事制限だけではなく運動も取り入れるようにしましょう。
姿勢
立ち仕事などで同じ姿勢を取り続けている人は、他の人よりもむくみを引き起こしやすいです。同じ姿勢を取り続けていることで重力の影響を受けやすく、リンパ液などの体液が下に溜まりやすくなるからだといえます。同じ姿勢での仕事が多い人は、休憩時には身体を動かすことを心掛けましょう。
むくみの種類
ここでは、2つのむくみの種類について説明します。
- 局所性浮腫
- 全身性浮腫
それぞれ説明します。
局所性浮腫
局所性浮腫は足にむくみが生じることがほとんどであり、炎症などが原因で特定の場所の静脈やリンパ管が詰まることで引き起こされます。局所性浮腫はさまざまな要因で引き起こされ、
- 静脈由来
- リンパ由来
- 炎症
をそれぞれ説明します。
静脈由来
「下肢静脈瘤」や「深部静脈血栓症」などの静脈由来による局所性浮腫は、静脈が瘤や血栓で詰まることで引き起こされます。静脈が詰まることで浮腫が引き起こされ、死に至ることもあるので注意しなければなりません。
リンパ由来
リンパ液の流れが悪くなることによって、むくみが生じてしまいます。リンパ液の流れが悪いことで老廃物が排出されずに体内に溜まりやすくなるので、流れを良くすることが重要です。リンパ液の流れが悪いのは生まれつきだけではなく、手術や放射線治療による影響もあります。
炎症
炎症がきっかけとなり、肥満細胞から放出されるヒスタミンなどの化学伝達物質により、血管の拡張や血管の透過性を亢進することでむくみを引き起こします。炎症は赤く腫れることにより、むくみのような状態になるだけではなく痛みを伴うこともあります。炎症が悪化した場合には膿が発生することもあるので注意しなければなりません。
全身性浮腫
全身に至るむくみであり、足だけではなく手や背中などもむくむことがあります。全身性浮腫が生じるのは2つの要因であり、
- 栄養状態
- 薬剤による副作用
が挙げられます。
何らかの理由で身体が低栄養状態になることで血液中のたんぱく量が減少し、細胞間の水分が血管中に引き込まれにくくなり水分が溜まりやすくなります。また何らかの治療で薬剤を使用している場合にむくむのは、薬剤による副作用が原因です。使用する薬剤を変更することでむくみが改善される可能があるので、副作用の可能性がある人は医師に相談するようにしましょう。
むくみが生じやすい要因
ここでは、むくみが生じやすい4つの要因について説明します。
- 運動不足
- 塩分過多な食事
- 多量の飲酒
- 女性ホルモンの影響
それぞれ説明します。
運動不足
むくみが生じやすい要因として、運動不足が挙げられます。運動不足でむくむのは、ふくらはぎの筋力低下を招くからです。ふくらはぎの筋肉はポンプのような働きがあり、足の血液はふくらはぎの筋肉によって心臓に戻されます。通常であれば、ふくらはぎの筋肉は重力と反対方向に血液を戻すことになりますが、ふくらはぎの筋肉が弱いことで戻しにくくなります。これによってむくみが生じるのは血液の流れが鈍くなり、ふくらはぎに老廃物が溜まりやすくなるからです。
塩分過多な食事
塩分に含まれるナトリウムは水分を吸収しやすくする働きがあり、適正量によって体内の水分量や浸透圧を調整しています。塩分過多な食事によって体内のナトリウムが過剰な状態になると、体内に水分が吸収されやすくなります。塩分過多な食事でむくむのは、血管内に溜まった水分が浸み出し、本来であれば排泄される余分な水分が体内に溜まりやすくなるからです。
多量の飲酒
アルコールには毛細血管の血管透過性の亢進効果があるため、飲酒によって血管内の水分が浸み出しやすくなります。多量の飲酒時には塩分過多な食品を一緒に食べる人もいるのでしょう。これにより、一層喉が渇きやすくなり、いつも以上に水分補給することで体内に水分が溜まりやすくなります。多量の飲酒はアルコールの血管透過性の亢進効果と塩分によるナトリウムの吸水効果で、相乗的にむくみやすいといえるでしょう。
女性ホルモンの影響
女性ホルモンの中の黄体ホルモンの分泌が活発になることで、むくみが生じやすくなります。黄体ホルモンは生理前に分泌が活発になるホルモンであり、妊娠に備えて体内に栄養や水分を蓄える作用があります。生理前のむくみに悩んでいる女性は、黄体ホルモンの影響により水分を溜め込みやすくなるからだといえるでしょう。
むくみを解消するポイント
ここでは、むくみを解消する2つのポイントについて説明します。
- 血流改善を促す
- カリウムの多い食材を摂取する
それぞれ説明します。
血流改善を促す
むくみを解消するポイントには血流改善が挙げられます。血流改善にはプールでの水中運動が効果的であり、水圧によって効率的に血流改善を促せます。これによって細胞間に溜まった体液が中枢へと移動することになり、むくみ軽減に効果的です。また運動による筋収縮によって筋力向上にもなるので、相乗的にむくみを軽減できます。血流改善にはマッサージも効果的なので、むくみを感じたらセルフマッサージを行なうようにしましょう。
カリウムの多い食材を摂取する
カリウムの多い食材を摂取することで、むくみを解消することができます。このミネラルには体内に過剰なナトリウムを排出する働きがあり、利尿作用があるので体内の余分な水分も排出してくれます。
女性がむくみを予防するには
ここでは、女性がむくみを予防する2つの方法について説明します。
- 弾性ストッキングを利用する
- 身体を締め付ける服装は避ける
それぞれ説明します。
弾性ストッキングを利用する
弾性ストッキングは足のむくみの予防や治療にも効果的です。むくみは毛細血管内から浸み出した水分が細胞間に溜まった状態であり、弾性ストッキングを利用することで動脈側の毛細血管の血管透過性によるむくみを抑制できます。ストッキングによる圧力で水分の浸み出しを押さえることになり、静脈側への水分吸収を促進させる圧力となります。弾性ストッキングがむくみ予防になるのは、細胞間に水分が溜まることを抑制するからです。
身体を締め付ける服装は避ける
身体を締め付ける服装は血管を圧迫して、血流を阻害するので避けるようにしましょう。足がむくむのはふくらはぎに老廃物が溜まるからであり、血流促進によって老廃物は溜まりにくくなります。むくみを予防するには静脈を流れる血液が心臓に戻りやすくすることが重要です。身体を締め付ける服装を避けることによって静脈から心臓に血液が戻りやすくなるので、むくみ予防につながります。
マッサージによるむくみ解消効果とは
リンパの流れが悪くなることで細胞間に水分が溜まりやすくなるので、余分な水分を排出することが重要です。マッサージには血管内に溜まった水分や塩分を指圧によって物理的に流すことができるので、一定のむくみ解消効果があります。溜まった水分や塩分を流すことを意識してしまい、必要以上に強い力でマッサージをする必要はありません。指を軽く押し当てて、「揉みほぐす」ことを意識するようにしましょう。マッサージによる指圧には筋収縮を促し、血流改善効果もあります。マッサージは1度だけでは効果が少ないので、継続的に行なう必要があります。また入浴後にクリームを使って行なうことで、血流改善だけではなく保湿にもなるのでおすすめです。むくみ解消効果は一時的なものなので、定期的な運動や体内のナトリウム量の調整によって、むくみにくい身体を目指すことが重要です。
まとめ
今回の記事のポイントについて、最後にまとめると以下のようになります。
- むくみは皮下組織に余分な水分が溜まり続けて異常に増加することで引き起こされる
- むくみの原因は塩分の過剰摂取やアルコールの飲み過ぎ
- むくみは「局所性浮腫」「全身性浮腫」「内臓疾患系浮腫」の3種類
- むくみが生じる要因は運動不足や女性ホルモンの影響
- むくみを解消するには血流改善を促しカリウムが多い食材を摂取する
- 身体を締め付ける服装を避けて弾性ストッキングでむくみ予防に効果的
- マッサージで血管内に溜まった水分や塩分を物理的に流せる
体内の水分のバランスによって細胞間の栄養輸送や老廃物の除去機能を正常に保たれていますが、バランスが崩れることで細胞間に水分が溜まるようになりむくみとなります。
塩分の過剰摂取やアルコールの飲み過ぎによって血管内から水分が浸み出しやすくなるので注意しなければなりません。
むくみが生じる要因はさまざまですが、放置することで死に至る場合もあるので要注意です。一時的なものでなく、全身にあるものや続く場合には医療機関で診察するようにしてください。
また、むくみは運動不足による筋力低下や黄体ホルモンの影響で引き起こされるので、誰にでも起こり得る可能性があります。むくみを解消するには、血流改善を意識してカリウムが豊富な食材を食事に取り入れるようにしましょう。
日常生活でむくみを予防するには血流を阻害せずに細胞間に水が溜まらないようにすることが重要なので、身体に合った服装で弾性ストッキングを活用しましょう。
マッサージには血管内で余分な水分や塩分を物理的に流すことができるのでむくみ解消効果があります。マッサージによるむくみ解消効果は一時的なものなので、生活習慣の見直しや専門家に相談するのもおすすめです。