健康診断でコレステロールが高いと指摘され、気になったことはありませんか?多くはLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪が高いと要受診や要指導とされます。
コレステロールが高いと動脈硬化を引き起こし、様々な病気を発症する原因になります。そこで今回は、自分でできるコレステロール対策として食事と運動どんな方法があるのか?コレステロールが高いことで受ける悪影響などをご紹介します。
目次
コレステロールとは
コレステロールとは血液の中にある脂質のひとつです。常時100g〜150g程からだに蓄えられており、食事から取り入れたり、体内でつくられるものがあります。
コレステロールと聞くと、身体に悪いものとしての印象がありますが、身体の細胞膜や男性ホルモンや女性ホルモンなどのステロイドホルモン、胆汁酸などに必要な材料として重要な役割を果たしています。
コレステロールの働き
コレステロールの主な働きとして3つ挙げられます。
- 細胞膜の材料
- 胆汁酸の材料
- 性ホルモンや副腎皮質ホルモンの材料
細胞膜は細胞の内外を仕切る役割で、コレステロールは細胞膜の主要な材料になります。
胆汁酸は接種した脂肪消化の吸収を助け、体内に存在するコレステロールを材料として胆汁酸に変換されたのち、体外へ排出されます。コレステロールの代謝を調節するとても大切な役割を担っています。
また、精巣、卵巣、胎盤、副腎皮質などのステロイドホルモンを作る材料にコレステロールが使われます。
成人男女の正常なコレステロール値
コレステロールの基準値は、複数あり代表的なところで日本動脈硬化学会と日本人間ドック学会の基準値を紹介します。健康診断を受ける機関がどの学会の基準値をとりいれているのか確認してみるのも良いでしょう。
日本動脈硬化学会 脂質異常診断基準(空腹時採血)(単位mg/dL)
LDLコレステロール | 140以上 | 高LDLコレステロール血症 |
LDLコレステロール | 120~139 | 境界域高LDLコレステロール血症 |
HDLコレステロール | 40未満 | 低HDLコレステロール血症 |
Non-HDLコレステロール | 170以上 | 高Non-HDLコレステロール血症 |
Non-HDLコレステロール | 150~169 | 境界域高Non-HDLコレステロール血症 |
日本人間ドック学会 判定基準 2021年度版 (単位mg/dL)
異常なし | 軽度異常 | 要経過観察 | 要医療 | |
LDLコレステロール | 60~119 | 120~139 | 140~179 | 59以下、180以上 |
HDLコレステロール | 40以上 | 35~39 | 34以下 | |
Non-HDLコレステロール | 90~149 | 150~169 | 170~209 | 89以下、210以上 |
高すぎも低すぎてもいけないコレステロール!
コレステロールは高くても低くても様々な症状を起こします。免疫機能が低下したり、脳出血の危険性が増加したりするのです。
LDLコレステロールが高い場合でも自覚症状がないため放置すると、動脈硬化が進み、脳梗塞や心筋梗塞などの命に関わる病気になる可能性があります。
また、 HDLコレステロール(善玉コレステロール)が低い時には、肝硬変などの肝疾患、炎症性腸疾患、リンパ腫など様々な疾患が見られることがあります。
コレステロール値の上昇に関連する症状
コレステロールの値が上昇することで起きる症状や、関連して出てくる状態を
詳しく見ていきましょう。
動脈硬化
動脈硬化は動脈の血管が硬くなり弾力性がなくなった状態です。悪玉コレステロールをたくさん取り込んだ後に残骸として血管にプラークができます。それが原因で血管の壁が厚くなり血管の通り道が狭くなって動脈硬化が始まります。
高血圧
高血圧の原因は様々ではっきりと特定できませんが、塩分の多い食事や肥満の方、喫煙や飲酒過多などの生活習慣や遺伝によっても引き起こされます。
高血圧は自覚症状がないため放置しておくと、動脈硬化から狭心病や心筋梗塞を起こす恐れがあります。
脂質異常症
脂質異常症は脂質の中のLDL(悪玉)コレステロールが多すぎるか、HDL(善玉)コレステロールが少なすぎる状態のことを言います。
自覚症状はありませんが動脈硬化を引き起こす原因のひとつです。
脂質異常症になる原因は高血圧と同様に過食、肥満、喫煙、飲酒過多などの生活習慣の場合が多いです。
糖尿病
糖尿病は血糖値が高い状態が続く病気です。高血糖が続くと全身の血管が痛めつけられ、はじめのうちは無自覚ですが、症状が進むと多尿、喉が渇く、水分をたくさん摂る、疲れやすいなどの自覚症状が出てきます。
ですので、気づいた時にはかなり進行しているケースが多く、3大合併症と言われる網膜症、腎症、神経障害のほか、心臓病や脳卒中のリスクも高まります。
糖尿病が進行してしまうと、透析療法を続けなければなりません。
中性脂肪
中性脂肪は私達にとって大切なエネルギー源ですが、余った中性脂肪は皮下や内蔵あたりに貯蔵されます。必要以上に中性脂肪が増えると、肥満をまねきます。
中性脂肪が増えると脂質代謝に異常が生じやすくなり、結果LDLの小型化をおこしてしまいます。ですが、中性脂肪を減らすと小型LDLコレステロールが普通のLDLコレステロールに戻りますので、なるべく中性脂肪を増やさないよう注意が必要です。
コレステロール値が下がらない原因
コレステロールが増えると、時には重篤な病気になることがあると分かりました。
ですが、意識をしていないとコレステロールの値は変わりません。
なぜ、コレステロール値が下がらないのでしょうか。
考えられる原因として以下の3つがあげられます。
食事(動物性脂肪の摂りすぎ)
加齢
運動不足
食事(動物性脂肪の摂りすぎ)
動物性脂肪には肉の脂と魚の脂の2種類があり、肉の脂は血中のLDL(悪玉)コレステロールを増やす働きがある飽和脂肪酸が含まれています。動物性脂肪を摂りすぎると循環器疾患のリスクを増加させることが示されています。
飽和脂肪酸が含まれている食品としてあげられるのが、肉類、ラード、牛乳などの乳製品、ケーキ、チョコレート、アイスなどの乳脂肪を使った洋菓子類にも含まれています。
加齢
50歳以前の女性は男性と比較してコレステロールの値は低いものですが、閉経後の50歳以降から急速に上昇して男性よりも高くなる傾向があります。これは、女性には女性ホルモンであるエストロゲンが閉経とともに低下してくるためと考えられています。
エストロゲンは、LDLコレステロールの低下やHDLコレステロールの上昇など、脂質の改善作用があるとされています。しかし、閉経後の女性では、このエストロゲンが低下してくることから、心筋梗塞や脳卒中といった心血管系疾患が起きやすくなるとされているのです。
一方男性は、総コレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪は中年期(40〜50歳代)にピークを迎え、その後低下していくとされています。
運動不足
運動不足だとHDL(善玉)コレステロール)を増やすことができず、体内に余分なコレステロールを回収ができません。そのため余分な脂肪が体内にたまりやすく、結果LDL(悪玉)コレステロール値が上がります。
HDL(善玉)コレステロールを増やし、LDL(悪玉)コレステロールを減らすには有酸素運動が有効です。1回あたり30〜60分、週3〜5日行うと良いでしょう。
以上がコレステロール値が下がらない原因でした。コレステロール値を気にされている方は当てはまる部分もあったのではないでしょうか?
食事でどのくらいで下がる?そのポイントとは
コレステロール値を下げるためには食事の中で必要な栄養を摂る必要があります。
まず1〜2ヶ月の生活習慣の改善でコレステロール値が下がるか確認します。
そこで食事で下げるポイントをご紹介します。
食物繊維を摂取
肉より魚中心の食事
魚卵・卵を控える
糖質やバターなどを使用した菓子類を控える
食物繊維を摂取
食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類ありますが、コレステロール値を下げるには水溶性食物繊維がおすすめです。
水溶性食物繊維は水に溶ける性質があり、ネバネバとゲル状に変化し食べ物の移動を緩やかに促します。腸内を移動する際に糖質やコレステロール、胆汁酸を吸収し、便と一緒に排出されます。
そのためコレステロールの吸収を抑え、コレステロールを低下させる効果が期待できます。
肉より魚中心の食事
魚の脂は血中コレステロールを減らす働きがある不飽和脂肪酸が含まれてます。その中にはDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)という成分があります。肉より魚というのは、これらの油脂が魚の方に含まれているからです。
また、このDHA、EPAを機能性関与成分として届出た機能性表示食品が販売されています。それらには、血中中性脂肪やLDLコレステロールがやや高めの方の血中中性脂肪を低下させる機能があることが報告されているものがありますので試してみるのもいいでしょう。
コレステロール対策として普段の食事から選ぶのであれば、動物性脂肪でもできるだけ魚の脂を摂るように心がけましょう。
魚卵・卵を控える
魚卵や卵にはコレステロールが多く含まれています。魚卵は数の子、たらこ、いくら、筋子、カラスミ、キャビアなどが挙げられます。
卵は1個あたりのコレステロール値が牛肉やチーズよりも高いため、コレステロール値が高いと病院で指摘されている人は、かかりつけ医などに相談しましょう。
糖質やバターなどを使用した菓子類を控える
卵やバターを使用した菓子類は飽和脂肪酸の脂質の他糖質も多く含まれています。
血糖値を上昇させ、中性脂肪を増やす原因になります。
卵やバターは洋菓子に多く含まれていますので、お菓子を食べるならカロリーが少ない和菓子がおすすめです。小豆、きなこ、寒天は食物繊維が多く含まれており、LDL(悪玉)コレステロールを減らす効果が期待できます。
肉は部位や食べ方に工夫を!
お肉は飽和脂肪酸が多くコレステロール値が高い人は控えるべきですが、食べられないとなると毎日の食事が楽しくありません。そこで食べ方を工夫することで肉類も食べられます。
脂身は取り除く
豚肉や牛肉の脂身には赤身よりも動物性脂肪が多く含まれているため、コレステロール値を気にしている方は取り除くことをオススメします。
調理法に工夫する
余分な脂肪をカットすることでコレステロールの上昇を抑えることが期待できます。
お肉を焼く際は網焼きで余分な油が落ちてヘルシーに焼き上がりますし、炒めものをする前に先にゆでることで余分な脂肪を落とせます。
また、炒め物に使う油によっては悪玉コレステロールを増やしてしまいます。
多価不飽和脂肪酸の多いサラダ油を使用することをオススメします。
また、LDLコレステロールの酸化を防ぐことに期待できる成分として、オリーブオイルに含まれるポリフェノールという成分があります。
ポリフェノールは植物に含まれる苦味や色素成分のことです。オリーブから抽出されたオリーブオイルポリフェノールを機能性関与成分として届出た機能性表示食品には、抗酸化作用により血中LDL(悪玉)コレステロールの酸化を抑制する機能性が報告されているものがあるので料理用の油におすすめです。
バター、ラード、ヤシ油は飽和脂肪酸が多く控えたほうが良いでしょう。その他にマーガリンやショートニングなどトランス脂肪酸を多く含む油もは控えた方が良いです。
レバーはNG!
レバーはコレステロールが高い食品です。鶏レバーは100gあたり370mg、豚レバーは100gあたり250mgほどコレステロールが含まれています。鶏レバーの方が多いですが豚レバーもコレステロール値は高いので気になる人は控えた方が良いでしょう。
もも肉や鶏の胸肉はOK!
もも肉や鶏むね肉は低脂肪、高タンパク、低カロリーに加えてコレステロールも低い食材です。そのためダイエットや筋肉トレーニングをしている方にも人気の食材です。
ですが、鶏むね肉に付いている皮はカロリーが高く、脂質や油分が大量に含まれているため控えるか、蒸したり茹でるなど調理法で工夫すると良いでしょう。
バラ肉やひき肉は控えめに!
豚バラ肉やひき肉には飽和脂肪酸が含まれていますので、食べ過ぎには注意しましょう。
食べる回数を減らすか量を控える他、茹でて食べるなど脂を落とす工夫をすると良いです。
その他にできれば豚肉や牛肉、もも肉を選ぶと良いでしょう。
運動でどれぐらいで下がる?そのポイントとは
コレステロール値を下げるために必要な運動は中強度の有酸素運動を定期的に行うと良いです。有酸素運動は酸素を使って体内の糖質や脂質をエネルギー源として筋肉を動かすためコレステロールを下げるのに最適です。
運動の効果として週120分程の有酸素運動が必要で、1回あたりの運動時間を長くするほど改善効果が高くなります。
ウォーキング・軽いジョギング
ウォーキングや軽いジョギングは運動の中で最も取り入れやすい方法です。生活の中で少しずつ歩数を増やすのも効果的です。エレベーターを利用する人は階段を利用するのも良いでしょう。最初から1万歩を目指すのではなく、ご自身に合った歩数からはじめ、慣れてきたらプラス8,000歩、10,000歩と増やしていくのも良いです。
水泳
水泳も有酸素運動に分類され、特に運動強度が高いです。継続的に続けることで脂肪燃焼や呼吸循環系の機能向上が期待されます。
1日30分程度の運動をすると良いでしょう。水泳以外にも水中ウォーキングも効果が期待できますので、水泳が苦手な方は水中ウォーキングをオススメします。
サイクリング(自転車)
サイクリングもコレステロールを下げる運動として効果が期待できます。
趣味として休みの日に出かけるのも良いですが、通勤方法を自転車に変えると通勤時に運動ができ、運動の時間を設ける手間がかかりません。
毎日じゃなくても1週間のうち3回の自転車通勤でも効果が期待できますのでオススメです。
LDLコレステロールを下げる機能性表示食品のお茶
手軽にコレステロール対策をとりたいならば機能性表示食品のお茶を取り入れるのも一つの手です。
各メーカーから販売されており、コンビニやインターネット等で手軽に入手できて便利です。
プロシアニジンB1及びB3配合の緑茶
プロシアニジンとは、カカオ、シナモン、黒豆、ナッツなどに含まれるポリフェノール(植物の苦味や色素成分)の一種です。
このプロシアニジンB1およびB3を機能性関与成分として届出た機能性表示食品には、悪玉(LDL)コレステロールを下げる機能があることが報告されているものがあります。また、加齢とともに低下する血管のしなやかさ(血管を締め付けた後の血管の拡張度)の維持に役立つ機能があることも報告されています。
オリーブ由来ヒドロキシチロソール配合のほうじ茶.
オリーブ油の主成分はオレイン酸で、コレステロール対策として知られていますが、近年はオレイン酸よりもオリーブに含まれるポリフェノール(植物の苦味や色素成分)、特にヒドロキシチロソールに注目が集まっています。ヒドロキシチロソールは、オリーブオイルだけではなく、オリーブの葉にも含まれており、葉からの抽出物がサプリメント素材としてよく用いられています。
このオリーブ由来ヒドロキシチロソールを機能性関与成分として届出た機能性表示食品には、血中のLDL-コレステロール(悪玉コレステロール)が酸化され酸化LDL-コレステロールになることを抑制させることが報告されているものがあります。
ほうじ茶として商品化しているものがあるので、炭水化物に偏りがちなメニューを食べるときに合わせて飲むと良いです。
松樹皮由来プロシアニジンを配合した烏龍茶
こちらの成分は松の樹皮から抽出したプロシアニジンです。この成分を機能性関与成分として届出た機能性表示食品に、悪玉(LDL)コレステロールを下げる機能があることが報告されている烏龍茶があります。
烏龍茶にも様々な機能が期待できることはよく知られていますが、コレステロール対策としてもおすすめしたい飲料です。
飲むタイミングに指定はなく、日頃の生活に取り入れやすいです。
まとめ
コレステロールを下げるためには生活習慣の改善が根幹にあり、食事、運動とともに取り入れた方がより効果が期待できます。食事は動物性脂肪を控え、運動は有酸素運動を取り入れ、まずは1~2ヶ月から始め、体調を確認しながら継続的に続けてみましょう。