高齢になればなるほど、血圧が高いのが気になってきたという人は多いのではないでしょうか。血圧が高いと、さまざまな体への弊害が引き起こされます。
血圧をコントロールするには、食事や運動などさまざまな方法があります。それらのひとつとして飲み物を意識するのもポイントです。こちらの記事では血圧対策に良い効果が期待できるおすすめの飲み物を紹介します。
高めの血圧で引き起こす弊害は?
一口に血圧が高めだといっても、それが実際にどのような問題になるのかをきちんと知っておくことが大切です。血圧が高めだからといって、本人は自覚がないことも多いものです。気づいたらかなり血圧が高かったということがないように、日頃から気にしておく必要があります。
血圧が高い状態が続くと血管に悪影響
そもそも血圧とは血液が血管を流れることで、血管の内壁に圧力がかかることをいいます。血圧が高いというのはその血管への圧力が、常に高い状態であることを指すものです。それは、血管や臓器などに負担をかけている状態です。
慢性的に血圧が高い状態が続くと動脈の壁に負担がかかり、血管に悪影響です。健康的な血管を保つためには、血圧が高い状態が続かないように気を付ける必要があります。
血圧が高いことで、脳や心臓の健康状態にも影響する
血圧が高い状態が続くことで血管に負担がかかると、脳や心臓にも負担がかかるようになります。脳や心臓の健康状態にとって悪影響だということは、突然命に関わるような状況にもなりかねないため、血圧が高めの状態が続くことは良くないとされているのです。
自覚症状がないことが多い
血圧が高いことが気になっているという人は多いものです。しかし実際自覚症状がないことも多く、つい放置してしまいがちでしょう。人は痛みや苦しさを伴うなら治療をしたいと思うものの、症状が出ないと気にならないからです。
しかし、そうしているうちに、血管や心臓、脳に知らず知らずに負担をかけ、健康にとって深刻な状態になっていることも多いため、血圧が高いことを健康診断で指摘されたり、自宅の血圧計などで分かった場合は、医師に相談することです。あわせてこれから紹介する生活スタイルを取り入れるなど、早めの対策を心がけましょう。
血圧対策に良い飲み物のポイントは?
血圧をコントロールするためには、食事や運動が大切なのはいうまでもありませんが、合わせて、飲み物も気にしていきたいところです。飲み物は食べ物よりも無意識にごくごくと飲んでしまいがちで、血圧のためによくないものも、大量に摂取してしまいやすいともいえます。
糖分や塩分が過剰に含まれた飲料を多量摂取したり、アルコールを過剰に飲んだりするのは、逆に血圧を高くする原因にもなりかねません。糖分や塩分の摂りすぎにならない、水やお茶を中心に水分補給ができるといいでしょう。
GABAやペプチド類など、血圧対策成分をチェック
血圧に関連する成分はいくつかあります。GABA(γ-アミノ酪酸)は、発芽玄米やトマトやなすなどに含まれている成分ですが、飲み物としてはこちらを配合しているココアやドリンクなどの商品が機能性表示食品として販売されています。GABA(γ-アミノ酪酸)を機能性関与成分として届出た機能性表示食品には、血圧が高めな方の血圧を下げる機能があることが報告されているものがあるので、試してみてはいかがでしょうか。
他にも、わかめペプチドを機能性関与成分として届出た機能性表示食品には、高めの血圧を下げる機能があることが報告されているものがあります。また、納豆菌由来ナットウキナーゼを機能性関与成分として届出た機能性表示食品には、血流(末梢)を改善することで血圧が高めの方の血圧を下げる機能が報告されているものがあります。さらに、ラクトトリペプチド(VPP、IPP)を機能性関与成分として届出た機能性表示食品には、血圧が高めな方の血圧を低下する効果だけでなく、中高年者の血管の柔軟性(血管を締め付けた後の血管の拡張度)維持を助ける機能も報告されているものがあるので、血管の健康が気になる方にはおすすめです。
また、先ほど紹介したGABAを機能性関与成分として届出た機能性表示食品には、事務的作業にともなう一時的な精神的ストレスを緩和する機能があることも報告されているものがあるので、合わせてこちらの効果も享受したいという方には特におすすめの成分です。血圧対策のための機能性表示食品として、数多くのGABA配合商品が発売されているので、選んでみるといいでしょう。
血圧対策におすすめの飲み物5選
それではここからは実際に血圧をコントロールするために飲みたい、おすすめの飲み物を紹介していきます。5つ紹介するので、気分に合わせて選んで飲んでみてください。
水。定期的な水分補給で血圧対策ができる
日本の成人を対象にした試験で、水分の摂取が血圧を低下させたというデータがあります。健康な男性24人と健康な女性31人を、普段から飲む量の水に加え1日550ml×2の水を飲んだグループと普段から飲んでいる量の水だけのグループと2つに分けて、12週間の試験が行われました。その結果、水をたくさん摂った方のグループで収縮期血圧の低下が見られたということです。血圧に変化があったグループでの水の摂取方法は、起床後2時間以内にボトル1本(550ml)と、就寝の2時間前にボトル1本(550ml)でした。
水の摂取が血圧を下げた仕組みとして、推定としてはいるものの、腎機能の改善による余分なナトリウムと水分の排泄、老廃物の排泄による末梢血管抵抗の減少などが血圧を下げた要因だとしています。
また、この試験から、水分補給は体温を上昇させる働きがあることもわかりました。水分補給によって体温を維持または上昇させることができれば、代謝が促進され、免疫機能が改善される可能性があるとしています。
以上の研究から、水分の定期的な摂取は健康にさまざまなメリットが得られる可能性があり、なおかつお手軽な方法でもあるので、おすすめします。
酢酸が含まれるお酢飲料
酢酸を機能性関与成分として届出た機能性表示食品には、血圧が高めの方の血圧を下げる機能があることが報告されているものがあるので、血圧が高めの方に適しています。お酢飲料は、毎日飲める美味しい味わいでありながら、酢酸の効果で血圧対策ができる飲料です。
ラクトトリペプチド(VPP、IPP)入りの乳性飲料
先ほども紹介しましたが、ラクトトリペプチド(VPP、IPP)を機能性関与成分として届出た機能性表示食品には、血圧が高めな方の血圧を低下させる機能、年齢と共に低下する血管のしなやかさ(血管を締め付けた後の血管の拡張度)の維持を助ける機能が報告されているものがあります。ラクトトリペプチド(VPP、IPP)は、牛乳に含まれているたんぱく質のひとつのカゼイン由来の成分で、乳性飲料に配合されていることが多いです。ラクトトリペプチド(VPP、IPP)が入った機能性表示食品の場合、1日の摂取目安量が記載されていることも多いため、目安にしながら摂取するようにしましょう。
ヒハツ由来ピペリン配合の緑茶
ヒハツ由来ピペリンを機能性関与成分として届出た機能性表示食品には、血圧が高めの方の血圧を改善し、正常な血圧を維持するものがあります。ヒハツ由来ピペリンが配合されている緑茶が、機能性表示食品として販売されているため、普段緑茶をよく飲まれる方で高めの血圧が気になっている方はチェックしてみるのがおすすめです。
コーヒー豆由来クロロゲン酸類配合の飲料
コーヒー豆由来クロロゲン酸類を機能性関与成分として届出た機能性表示食品には、高めの血圧を下げる機能があると報告されているものがあります。こちらの成分は、機能性表示食品のお茶に配合されていたり、コーヒー風味の飲料に配合されていたりするので、好みの味わいのものを選ぶのが良いでしょう。
血圧が高めの人は注意したい飲み物3選
ここまでは血圧が高めの人におすすめしたい飲み物を5つ紹介していきました。ここからは逆に、血圧が気になる人は摂取するのを控えた方がよい飲み物を紹介していきます。現時点ではそれほど血圧が高くない人でも、ここから紹介する注意が必要な飲み物を多く摂取していると、慢性的に血圧が高い状態になってしまうリスクが高まります。しっかりと注意しましょう。
糖分の多い飲料
コーラなどの炭酸飲料や果実のジュースなど、一般的な清涼飲料水は基本的にかなり多くの糖分を含んでいます。食事からではなかなか摂らないような量の糖分も、ジュースになると簡単に摂取できてしまうので、なるべく甘い清涼飲料水は飲みすぎないようにしましょう。
糖分を摂りすぎてしまうと、体脂肪が増える原因となり、そこから慢性的に血圧が高い状態になる可能性が高まります。とくに夏場は脱水になることを恐れて、多くの水分を摂ろうと努める人も多いものです。しかしその際にジュースばかりを選ぶのではなく、基本的には水やお茶を中心に選ぶ方が安心といえます。
コーラやサイダーなど糖分が多いとされる炭酸飲料には、500mlで約50~60g程度の砂糖が入っているといわれています。これは角砂糖にすると15~18個程度です。コーヒーに入れる角砂糖と比較すると、たいへん多い量が含まれていることがわかります。
ただ無意識にジュースを選ぶのではなく、どれくらいの角砂糖が入っているかを想像しながら選ぶことで、抑止力になるでしょう。
果汁の多く入った野菜ジュース
血圧対策におすすめの飲み物のひとつとして、野菜ジュースを紹介しました。しかしひとくちに野菜ジュースといっても、さまざまなタイプのものがあります。しっかりと野菜の成分を摂取できるものならよいものの、おいしく飲むために果汁をたっぷりと入れた野菜ジュースは、無駄に糖分が多いものです。必要な栄養素は摂取できないことになりかねません。
野菜ジュースならどれを選んでも健康によい、野菜を食べる代わりになることではありません。なるべく果汁が少なく、糖分の少ないものを選ぶようにしましょう。
果汁で甘味を補っている野菜ジュースは、砂糖不使用を謳っているものもあります。だからといって糖質がゼロなわけではないので、しっかりと糖質量を確認することが大切です。
アルコール飲料
アルコールは、適度な量を摂取するなら血圧を下げるともいわれています。しかし長期間多くの量を飲み続けると、高血圧になるリスクが高まるといわれているので注意しましょう。健康的なアルコール量の目安としては、1日あたり日本酒1合程度だといわれています。
また長期間多量のアルコールを飲むことが、高血圧につながるだけではありません。酒を飲む時に一緒に食べるおつまみも、血圧を上げてしまうものが多いのです。おつまみはお酒にあう味わいにするために、塩分が多量に含まれていることもあります。塩分量の多い定番のおつまみといえばさきいかやするめ、ジャーキーなどです。お酒を飲みながら、これらの塩分の高いおつまみを食べることは、血圧を高める原因となりえます。
お酒を飲むことで、仕事の疲れやストレスが発散されるというお酒好きな人なら、適度に飲むことが心身にもよい影響を与えるといえるでしょう。ただ「適度に」という言葉から外れた、過剰な飲酒は血圧を上げる原因になるので、注意してください。また過度な飲酒は高血圧だけでなく肝障害や心疾患、糖尿病などさまざまな疾患の原因になるといわれています。健康な体を保つためには飲みすぎないようにしましょう。
飲み物を見直すことで、血圧の改善を目指そう
こちらの記事では血圧が高めの人におすすめの飲み物や、注意したい飲み物を紹介していきました。血圧が高いのは健康診断などで指摘されないと、気づかないことが多いものです。また指摘されても自覚症状がないため、放置してしまう人が多いものだといわれています。もし、血圧が高いといわれた場合は、医師に相談するようにしてください。
血圧が高めなことを指摘されたにも関わらず、砂糖の多い飲料やアルコールなど血圧のためによくない飲み物を飲み続けてしまうとよくありません。常に血管へ負担がかかって、血管の健康への悪影響を進める原因になるでしょう。
血圧をコントロールするための生活改善の中でも、飲み物を改善するのは比較的やりやすい方法だといえます。アルコールを過剰摂取していたり、常に甘いジュースを持ち歩いていたりする人は、飲みものを水やお茶に変えてみましょう。また砂糖控えめのココアを毎日の習慣にしてみるなど、血圧を正常に保てるように努めてみてはいかがでしょうか。