食後に強い眠気が訪れる、そんな経験はありませんか?それはもしかすると血糖値スパイクが関係しているかもしれません。そんな血糖値スパイクですが、聞き慣れない言葉と思う方も多いのではないでしょうか。血糖値と眠気にはどのような関係があるのか、眠気を無くす対処方法や糖尿病との関係についても解説します。
目次
食後の眠気は血糖値が関係する
食後に起きる強い眠気は、血糖値が関係している可能性があります。血糖値が急激に上がったり下がったりする状態を血糖値スパイクと言いますが、この血糖値スパイクが起きると強い眠気が訪れることがあります。
具体的には体内でどのようなことが起きているのか、まずは食後の眠気と血糖値スパイクの関係性について解説します。
血糖値スパイクの可能性がある
食べ物の中には糖質が含まれているものが多いですが、そんな糖質が食事を通じて体内に取り込まれることで、体内の血糖値が増加します。血糖値が高くなりすぎると体に負荷がかかるため、血糖値を下げる働きのあるインスリンというホルモンが体内に分泌されます。このインスリンが血中を巡ることで糖を適切な場所に運び、血糖値を下げるということが食後の体内で起きています。
ここで注目をしたいのが、血糖値が上昇する部分です。糖質を摂取することで一時的に血糖値が上がり、インスリンが分泌されるまで血糖値は高いままです。しかし、糖質を大量に摂取するなど、何らかの理由で一気に血糖値が上がった場合、インスリンが大量に分泌され反動で血糖値は急降下します。この急激な血糖値の上昇と急降下が起きることで身体に大きな負担がかかり、強い眠気や倦怠感、イライラを感じやすくなることがあります。このような状態のことを血糖値スパイクと呼びます。
血糖値スパイクの症状
血糖値スパイクが起きたときの症状として、強い眠気や倦怠感を感じることを上記でもお話しましたが、数値による具体的な症状としてこのような状態があげられます。
血糖値が60~80mg/dlまで急激に下がった場合は生あくびや吐き気、空腹。50~60mg/dlはだるさや集中力の低下。30~50mg/dlは動機やしびれ、ふるえ。30mg/dl以下になると失神や痙攣、昏睡状態に陥る可能性が高いといわれています。
血糖値スパイクが頻繁に続いた場合、体に負荷がかかり続け、血液中に余った糖が体内の組織や細胞に溜まる“糖化”という状態に陥ります。糖化はシミしわなどの老化を進める他、白内障、認知症、骨粗鬆症などの病気を発症する可能性もあるため危険です。
こうならないためにも血糖値スパイクがおきないように、その原因をしっかりチェックしていきます。普段の生活においても気を付けていきたいものです。
血糖値スパイクの原因
通常であれば血糖値スパイクが起きることなく血糖値は正常範囲を保てるのですが、なぜ血糖値スパイクは発生してしまうのでしょうか。ここからは血糖値スパイクが何故おきるのか、原因について解説します。
食生活の乱れ
まず一つは、食生活の乱れです。血糖値が急激に上昇する理由として、一気に食べ過ぎたり飲みすぎたり、早食いをしてしまうことがあげられます。食事をゆっくりと平均的な量食べていれば、体内でインスリンが正常に分泌されるため、血糖値が多少上がっても少しずつ下げていけるのですが、食べ過ぎ飲みすぎの上に早食いまでしてしまうと、一気に血糖値が高まる分、インスリンも大量に分泌されます。その結果として、血糖値スパイクが発生してしまうのです。
また食べ過ぎ飲みすぎではなくとも、食事の内容によっても血糖値スパイクは起こりやすくなります。血糖値を下げるインスリンの働きが鈍るような、栄養バランスが偏った食事ばかりしていたり、糖質があまりにも多い食事ばかりしていると、どうしても血糖値スパイクが発生しやすくなるのです。
たとえば、インスタントラーメンやカップ麺などの食事が多かったり、スナック菓子を食事代わりにしていたりというケースが考えられます。
血糖値スパイクを起こさないためにも食生活の乱れを正す必要があるでしょう。
ストレスや寝不足
食事だけではなくストレスや寝不足も血糖値スパイクに大きく関係します。強い怒りやストレスを感じると血糖値を上げるホルモンの分泌が過剰になり、糖質を摂取して居なくとも血糖値が急激に上昇してしまことがあるです。精神的にストレスがかかることがなくとも、痛みを感じるなど、体そのものにストレスがかかったときに血糖値が上昇しやすくなるケースもあるため気をつけてください。
また寝不足の状態は、血糖値の上昇を抑えるホルモンの働きを低下させてしまうため、結果として血糖値が上がりやすくなってしまいます。普段と同じ量の食事を摂取していても、血糖値を下げる働きが鈍っている分、数値が急激に上昇してしまうので要注意です。
このようにストレスや寝不足によっても血糖値スパイクが起こりやすくなるため、規則正しい生活を心がけることはもちろん、体や心のストレスを緩和できる方法を見つけると血糖値を下げることに繋がります。
ストレスを自覚している方は、回避できる方法を考えてみる必要があります。
運動不足
運動不足の方も血糖値スパイクを起こしやすいと考えられます。食後すぐに横になったり椅子に座ってしまうと、血糖値が急激に上昇しやすくなるため、すぐにのんびりしてはいけません。
食後に血糖値を急激に上昇させないためには、軽く運動をすることをおすすめします。食後すぐに動くのが辛い場合、食事を食べ過ぎている可能性が高いです。食事は多くとも腹八分目程度に留め、満腹状態は控えましょう。
また筋肉量が不足していると体内の糖を貯蔵しておく場所が無いため、血糖値の急上昇が起こりやすいです。筋トレをして筋肉量を増やすことも血糖値スパイクを予防するのに効果的でしょう。
飲酒量が多い
お酒にも糖質が含まれる種類が多く、飲酒量が多い方は自然と血糖値が上がりやすくなります。とくにビールやカクテル、サワー、日本酒などは糖質が多く含まれているため、飲めば飲むほど体内に糖質が増え、血糖値スパイクを引き起こす原因に繋がりやすいでしょう。
血糖値スパイクの対処法
このように血糖値スパイクはさまざまな原因によって引き起こされるため注意が必要です。ここからは血糖値スパイクを起こさないための対処法について解説します。
食事を工夫する
血糖値は食事によって上昇するため、まずは食事の方法を見直すところからはじめましょう。糖質が多く含まれているご飯やパンなどの炭水化物は、最初に摂取してしまうと血糖値が急上昇しやすくなります。まずは糖質の消化吸収を遅らせる効果が高い野菜を摂取し、肉や魚などのタンパク質を食べた後、最後にご飯やパンなどの主食を食べるようにすることで、血糖値の急激な上昇を抑えられます。
いわゆるベジタブルファーストの食事を行うだけでも、血糖値スパイクは起こりにくくなるでしょう。
次に欠食をしないことです。ほぼ絶食の状態から一気にご飯を食べると、体内の血糖値が低い状態から一気に上昇してしまいます。お腹がぺこぺこの状態からお腹がいっぱいになるのは一見幸せなことではありますが、血糖値スパイクを容易に引き起こすため危険です。食べる時間がなかったとしても味噌汁一杯だけ飲む、ジュース一杯だけ飲む、というように、定期的に少しでも何かを口に入れるようにしましょう。
適度な運動
食後に体を動かすことも血糖値スパイクを抑えるのに効果的です。あくまで軽い運動で構いません。食後すぐにお皿洗いをする、ランチ後少し散歩してから帰るなど、軽い運動を取り入れるだけで血糖値の急上昇を抑えられます。
また余分な内臓脂肪はインスリンの働きを阻害してしまうため、日頃から運動習慣を取り入れて内臓脂肪を減らすことも大切です。一気にダイエットをするのは難しいですが、少しずつ運動習慣を取り入れれば内臓脂肪はどんどん減らせます。有酸素運動と筋トレを取り入れて、健康的な身体を手に入れましょう。
朝食を抜かない
忙しい朝はつい朝食を抜いてしまいがちですが、朝食を抜くと血糖値が非常に低い状態からスタートしますので、お昼ご飯を食べたときに血糖値スパイクが起こりやすくなります。朝しっかりご飯を食べる余裕が無い、食欲がない場合は、サラダやバナナだけ、スムージーなどの飲み物だけなどでも構わないので何かしらをお腹に入れるようにしてみてください。
少し摂取するだけでも血糖値の急激な上昇を防げる他、普段朝は頭が働きにくいという方の場合、脳がスムーズに動くようになります。ただし朝ご飯を大量に食べすぎると逆に眠気が押し寄せてしまう可能性があるため、食べ過ぎには注意が必要です。
また日中の食事量を少なくし夜にしっかり食べるという方もいるかと思いますが、深夜帯はインスリンの効きが悪くなり、血糖値が上昇しやすくなるためあまりおすすめできません。夜遅くに食事をする場合は摂取量をできるだけ控え、血糖値スパイクが起きないように調整するべきでしょう。
眠気と糖尿病の関係
血糖値スパイクと眠気、対処法について解説してきましたが、ここからは眠気と糖尿病の関係についてお話していきます。糖尿病を発症すると強い眠気に襲われる理由としてはこれらが考えられるでしょう。
血糖値をコントロールできないので眠気が起こる
そもそも糖尿病とはどのような病気かご存じでしょうか。糖尿病は血液中のブドウ糖の値や血糖値の平均値をチェックし、一定の高数値が出ている場合に診断されますが、この病気になるとインスリンが正常に機能しづらく、血糖値が体内でコントロールできなくなるため、さまざまな症状が表われます。眠気が起きるのも症状の一つです。
糖尿病には大きくわけて1型、2型二種類のタイプがありますが、どちらのタイプでも眠気は起こりやすくなります。また小児糖尿病、妊娠糖尿病など特定の条件下のもと発症する糖尿病についても同じです。血糖値コントロールがスムーズに行われなくなった結果、昼に起きてられないほどの強い眠気を感じる方も少なくないでしょう。
糖尿病が疑われる眠気以外の症状
もちろん、強い眠気を感じるから糖尿病というわけではありません。ですが糖尿病は初期症状がわかりづらく、自覚症状がほとんどないまま症状が悪化してしまう病気です。眠気の他にもこのような症状がある場合は、1度病院で相談をしてみてください。
代表的な症状としては、疲れやすい、喉が渇いてしまって水分をよく飲む、頻尿、傷が治りにくい、目がかすむなどが上げられます。
また食べているのに体重が減る場合も、ほうっておかない方が良いです。、男性の場合は性機能に異常があるなども糖尿病の可能性があります。こちらの症状は糖尿病の初期症状ではなく、糖尿病がかなり進行している可能性が高いため、できるだけ早めに病院を受診して適切な治療を受けてください。
糖尿病は肥満体質の方が起こりやすいイメージがあるかもしれません。しかし、一概にそうとは言えないものです。2型糖尿病の場合は生活習慣が原因で後天的に糖尿病を発症しますが、1型糖尿病の場合は先天的に血糖値コントロールがしづらい体のため、一般的な生活を送っているやせ形の方が発症することも珍しくないのです。
体型や食事内容に関係なく、糖尿病はいつなんどき誰が発症してもおかしくない病気だと覚えておいてください。糖尿病への理解を深めることも大事です。
まとめ
血糖値と眠気の関係性について解説しました。
血糖値が急激に上昇した後に下降することで血糖値スパイクが発生し、その結果強い眠気を引き起こしてしまいます。これを避けるには、血糖値を急上昇させないように注意が必要です。
食生活や運動など、生活習慣を少し気をつけるだけでも、血糖値スパイクは抑えられます。まずはできることから、無理のない範囲で対策をはじめてみてください。
また、あまりにも強い眠気を感じたら糖尿病を発症している可能性もあるため、病院で検査することをおすすめします。