「お酒を飲んだ翌日、顔がむくんで会社に行くのが憂鬱……」
そんな思いをされたことはありますか?
この記事では特に『顔のむくみ』について、
- 『むくみ』を解消させる7通りのケア
- 『むくみ』全般に関する知識
の情報をまとめました。
むくみに対するセルフケアだけでなく、むくみに隠れた病気を見逃さないための情報も含まれています。
ただし、ここでの情報はあくまでも参考に留めてください。実際の診断は医療機関でしっかりと受けていただくことが重要です。
是非最後までご覧いただき、むくみ対策と病気の予防にお役立てください。
目次
むくみ(浮腫)とは?その原因とメカニズム
むくみと言えば
- むくみで指輪が外れない
- むくみで顔が腫れぼったい
- 足がむくんで足が靴に入らない…
といった症状が代表的でしょうか?
一般的にむくみとは、皮膚の下の組織に水分が溜まって膨らんだように見えてしまう現象の事を指します。血管の水分が増えて血管の外(皮下組織)に染み出し顔や足、あるいは全身が膨らんで腫れぼったくなります。
むくみが起こる主な要因は『体内の水分の増えすぎ、かたより』です。
本来、体内の水分量は吸収や排出を繰り返して一定量に保たれています。その水分が多くなりすぎた時に血管やリンパ管から水分が外に漏れ出すことによって引き起こされます。
むくみは医学用語で『浮腫(ふしゅ)』とも言い、その原因は二通りあります。
- 生活習慣によって日常的に起こるもの
- 病気によって引き起こされるのもの
両者を混同してしまうのは危険です。適切にむくみに対処するためのむくみの基本的な知識をご紹介します。
むくみの原因
ほとんどのケースにおいてむくみは軽度で自身で解消することが出来ます。そうした日常的に起こる軽度のむくみの原因は以下が考えられます。
食事
高塩分の食べ物は身体に余分な水分を集めてしまう事があります。
塩分を摂りすぎると体はその塩分を薄めるために体に水分を貯めてしまいます。また、
アルコールを摂りすぎると血管が拡張して水分の処理が滞り、むくみやすくなります。
姿勢
座りすぎや立ちすぎ、または脚を組みすぎるなど長時間同じ姿勢が続くと筋肉の動きがこわばり、血液やリンパの流れが滞ることで組織に余分な水分が溜まって体がむくむ事があります。
妊娠中や生理前
妊娠中は、身体の血液量が増え、子宮が増大することによって、腹部、足、手にむくみが現れることがあります。
また生理前は黄体ホルモンの働きで体内の水分が保持され、むくみやすくなります。むくみは月経前症候群の症状の一つでもあります。
薬の副作用
一部の薬は、むくみを引き起こすことがあります。例として高血圧薬や抗うつ薬などは血管拡張や体液循環の変化を引き起こすため、むくみの原因となります。
運動不足
運動不足は筋肉の動きを減少させ、静脈血の流れが悪化して、その結果むくみが起こることがあります。
自律神経の乱れ
ストレスや睡眠不足などで自律神経の働きが乱れると体内の水分調整機能に影響し、むくみに繋がります。
体の冷え
体が冷えて血液の流れが悪くなると、血流とともに体内の水分調整機能が滞り、むくみやすくなります。
体の締め付け
窮屈な服装で体を締め付けてしまうことで血液やリンパの流れが滞り、むくみやすくなります。
過度なダイエット
過度なダイエットによる栄養不足もむくみの要因となります。たんぱく質が不足すると血液の浸透圧が低下して血液中の水分が血管の外に漏れ出して皮下組織に溜まりやすくなります。
また過度なダイエットによるストレスも自律神経に影響して水分の排出を妨げます。
顔にむくみが出るワケ
一般的にむくみは足に起こることが多いですが、これは足が心臓より下にあるためと言われています。血流やリンパが体内で循環し、水分を運ぶことで体内の水分は一定の割合に保たれています。
脚のむくみが多いのはリンパや血流が滞る時、主に心臓より低い位置から巡りが悪くなり、血中、リンパ中の余分な水分もそこに滞るからです。
顔のむくみが起こりやすいのは夜、寝ている間です。就寝時は全身が心臓とほぼ同じ高さになるため、体の各部に水分が滞りやすくなります。
よって顔のむくみをケアする重要なタイミングは就寝前と起床後という事になります。
むくみの背後に隠れた病気
多くのむくみの原因はこれまでにご紹介してきた通りですが病気によってむくみが引き起こされる事もあります。
むくみが起こる疾患の例
- 心不全
- 静脈瘤
- 血栓
- 腎不全
- 肝不全
- 甲状腺
- リンパ
- 皮膚
- 腫瘍
- 細菌による炎症
- 筋肉内の出血
これらとその他の疾患が身体の水分バランスの調整機能に影響を与えます。
これらはセルフケアだけで解決することは難しいので、早めに医師の診療を受けましょう。
むくみ解消法7選
さまざまな要因によって起こるむくみですが、顔のむくみはその要因と対策がある程度限定されます。顔のむくみに効果的な対策を7つご紹介します。
生活習慣
生活習慣を改めることである程度顔のむくみを予防・解消出来ます。むくみが起きてからおこなうよりは普段からこれらを生活に取り入れておく事が大事です。
またご紹介する方法はかなりたくさんあるので一度に全てを実践するのではなく、少しずつ取り入れていきましょう。
水分補給をする
むくみの要因は体内の水分が多過ぎる事ですが、かといって水分補給をしないと体が水分を体外に排出しなくなり、体内に水分を蓄えやすくなってしまいます。
そのため水分は摂りすぎても足らなくてもむくみには良くありません。体内の水分を適度に保つには、体が本来持つ水分調節機能をスムーズに動かすために『こまめな水分補給』を心がけましょう。
一度に大量の水を飲むと体の水分排出が遅れてむくみやすくなります。少しずつ時間を空けて水を飲むようにすれば、余分に取り込んだ水分は少しづつ体外に排出されます。
姿勢を正す
首や肩、背中の筋肉が硬くなると、血液やリンパ液の流れが悪くなりむくみが起こりやすくなります。正しい姿勢を保つように心がけましょう。
また、デスクワークや長時間の立ち仕事をする場合は定期的にストレッチや筋トレを行い、筋肉をほぐしましょう。
運動をする
適度な運動は筋肉を動かし、血液やリンパ液の流れを促進するためむくみの解消に効果的です。また、運動で汗をかけば水分を効果的に体外に排出できます。
特に、有酸素運動やウォーキング、ストレッチなどは、むくみの改善に効果があります。
塩分の摂取を控える
塩分を摂りすぎると体はその塩分を薄めるために体に水分を貯めてしまい、むくみを引き起こす原因となります。
塩分の摂取量は適度に、摂りすぎないようにしましょう。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、塩分摂取の目標量を成人1人1日当たり食塩相当量で男性7.5g未満、女性では6.5g未満としています。
食事の際には、調味料に代用できるスパイスやハーブを使用するなど、塩分を控えた調理方法を心がけましょう。
食事を改善する
偏りのない栄養バランスの良い食事を心がけましょう。特に
- カリウム
- 食物繊維
などの栄養素は、むくみの改善に効果があります。野菜や果物などの食物繊維を多く摂ることで、便秘の改善にもつながり、むくみの予防にも効果的です。
リラックスする
ストレスや疲れがたまると体内の自律神経の乱れからホルモンバランスが崩れてむくみを引き起こす原因となります。リラックスする時間を作りストレスを軽減する事も必要です。
- ゆっくり入浴する
- ヨガや瞑想など
- 趣味、娯楽に興じる
- 映画や音楽鑑賞
- 自然を感じる場所に行く
- 食事
- 人と話す
など、自分に合ったリラックス方法とそれをおこなう時間を確保しましょう。
睡眠を十分にとる
十分な睡眠をとることで体内のホルモンバランスが整い、むくみを防ぐことができます。また、寝る前には枕を高くして顔の位置を心臓より高くするなど寝姿勢を工夫することでも顔のむくみを改善できます。
ハンドマッサージ・ツボ
生活習慣の改善で体の内部をケアしたら、むくんだ顔に直接的作用するマッサージも効果的です。
マッサージは、筋肉をほぐし、血液やリンパ液の流れを促進してむくみを解消します。顔まわりのマッサージ方法をご紹介します。
顔周辺のハンドマッサージ
マッサージクリームや普段顔に使っているクリームを手に取り、人差し指~小指、あるいは中指と薬指を使って
- 頬
- 口角
- 小鼻の脇
- 額
を持ち上げるようにしながらやさしくマッサージします。
目の周りは中指と薬指の指先で優しく円を描くようにマッサージして、こめかみを押してあげましょう。
特に目の周りのむくみが気になる方はアイマスクを使用して目の周りを重点的にマッサージするとむくみだけでなく目の疲れの解消にも効果的です。
耳マッサージ
耳周辺はツボやリンパ節が多く集まる場所で、耳まわりのマッサージはむくみの改善に効果的です。また耳の周辺ならメイクやマスクをしていてもどこでも気軽にマッサージできます。
また、気温が低くないときに耳が冷たい時は血液やリンパの流れが滞っているかも知れません。普段からこまめに耳を手で触ることで『体の冷え具合』をチェックすることが出来ます。
温冷療法
温冷療法は、血液やリンパ液の流れを促進するためむくみの改善に効果があります。
- ハンドタオルを2枚用意します。
- 2枚のタオルを水で濡らし、片方のタオルを電子レンジで30秒~1分程度暖め、拡げて肌に触れても熱すぎない程度に冷まします。
- 適度な温度になったタオルを30秒程度顔に当てます。
- 温めていない方のタオルに替えて30秒程度顔に当てます。
- 3と4を2~3回繰り返します。
むくみ解消に使える市販薬・サプリメント
むくみに効果があるとされる薬品やサプリメント等が販売されています。
処方箋を必要としない市販薬やサプリメントには、漢方薬やカリウムなどの栄養素を補うものが多く出回っています。
むくみに効果があるとされる市販薬、サプリメントの有効成分の例
- 牛車腎気丸
- 五苓散
- 防己黄耆湯
- 当帰芍薬散
- カリウム
また、むくみに効果があるとされる機能性表示食品があります。
レモンに含まれるポリフェノールの一種である「レモン由来酵素処理ヘスペリジン」を機能性関与成分として届出た機能性表示食品は、「一時的に自覚する顔のむくみ感や、脚(ふくらはぎ)のむくみを軽減する」などの機能があることが報告されています。
ヘスペリジンはレモン以外にも温州かんや八朔、柚子などの柑橘類に含まれています。
また、ヒハツ由来ピペリン類を機能性関与成分として届出た機能性表示食品もあります。
ヒハツは、熱帯地方原産のコショウ科植物です。コショウに似た風味があるため香辛料として利用されています。
ヒハツ由来ピペリン類を配合した機能性表示食品には「冷えにより低下した血流(末梢血流)を正常に整え、冷えによる末梢(手)の皮膚表面温度の低下を軽減する」また、「脚のむくみが気になる健常な女性の夕方の脚のむくみ(病的ではない一過性のむくみ)を軽減する」などの機能が報告されているものがあります。
ただし漢方薬、サプリメントなどはあくまでもむくみ解消の補助的な役割と捉えるべきでしょう。
また過剰摂取や間違った使用を防ぐために医師や薬剤師と相談して使用する事をおすすめします。
サロン
サロンによって提供されるむくみ解消のコースには、マッサージや圧力をかけてリンパの流れを促進するものや、温めることで血流を改善するものなどがあります。
これらの施術で効果的なむくみ解消が期待できますが、効果はあくまで一時的なものです。市販薬やサプリメント同様、サロンも補助的な役割と捉えた方が良いでしょう。
むくみ解消アイテム
むくみ解消の補助の一つとして『むくみ解消アイテム』を使ってみるのもいいかも知れません。リンパの流れや血行を促進し、むくみの予防や解消が期待できます。
また日頃のケアがおっくうになってしまいそうな時、「買ったのだから使わなきゃ」といった動機づくりになるかも知れません。
フェイスローラー
顔まわりの肌の上を転がしてマッサージするフェイスローラーは形状、素材、使用感など様々なタイプが販売されています。
購入前に確認しておきたい事
- 外観
- 大きさ
- 重さ
- 使用感
- 自分の肌に合うかどうか
など、使いやすさや自分に合っているかどうか、可能であれば買う前に確認した方が良いでしょう。
美容家電
美顔器などの美容家電は美容のさまざまな悩みに対応するために多種多様な製品が販売されています。
美容家電の例
- イオン導入機
- 超音波美顔器
- EMS美顔器
- フェイシャルスチーマー
さまざまなメーカーから販売されているこれらの商品が全てむくみに効果があるとは限りません。
『顔のむくみ解消や予防』という目的に対して効果がある製品かどうか、購入前に確認しましょう。
解消しない・繰り返す場合は病院へ
ここまでご紹介してきた方法でむくみが解消しない場合、あるいはむくみの症状がひどい場合は、他の病気などが原因でむくみを引き起こしている可能性もあります。
そういった疑いがある場合は無理をして自分で何とかしようとせず、医師に相談して処置しましょう。
まとめ
以上、主に顔のむくみを中心にむくみに関する情報をご紹介しました。重要な部分をまとめると
- むくみ対策の主役は食事や水分補給を含めた生活習慣の改善
- マッサージや薬とサプリ、アイテム類はむくみ解消においては補助として活用
- まれにむくみの陰に疾病が潜んでいることもあるので異変を感じたら早めに医師に相談
一過性のむくみは、しっかり自己管理することで対処できる場合がほとんどです。この記事の情報が生活習慣の改善に繋がれば幸いです。