足のむくみに悩む方もいるでしょう。それには原因を踏まえ、適切に対処してください。生活習慣の見直しによって、改善できる可能性があります。原因には水分不足や、ホルモンバランスの乱れなどがあります。水分摂取や運動などの習慣で、むくみの改善に取り組みましょう。
ただし、むくみには隠れた病気が潜んでいるかもしれません。一時的なものでなかったり、全身にむくみがある時などは、迷わず医療機関で受診することをおすすめします。
そのうえで自ら取り組むこととして以下の知識を身につけてください。
今回は足のむくみを解決したい方のために、その原因と対処法をまとめました。
目次
むくみとは何か?
むくみとは、医学用語で「浮腫」とも呼び、体内でナトリウムなどの影響により皮下の組織間に体液量が増えすぎた状態になります。ナトリウムが腎臓から十分に排出されていないために、むくみが起こるとされています。加えて静脈の炎症や、リンパ管の閉塞も原因とされます。
これらのような異常があると、むくみを感じるでしょう。たとえば足などがはれぼったいと思うときがあります。下腿の圧迫によって、跡が残る人もいるでしょう。このような状態がむくみのサインです。気になるサインがあったら、まずは生活を見直すべきです。
生活環境を見直しても改善が見られなければ、医療機関へ相談しましょう。むくみが示す病気には心不全や腎不全などがあり、放置すると深刻な事態もあるからです。また副腎皮質ステロイドやピオグリタゾン(高糖尿病薬)など薬剤的原因でむくみが出る方もいます。この場合は自然に収まるのを待ち、数日経っても続くなら医師に相談しましょう。
足のむくみの原因4つ
ここでは足のむくみが気になる方のため、主な原因を4つ紹介します。水分の過不足や運動不足、塩分の摂りすぎなどが代表例です。むくみの主な原因を、ひとつずつ見ていきましょう。
水分の過不足
水分不足や摂りすぎによって、体がむくむことがあります。どちらも体内の循環に影響を与えるからです。体がむくむなら、一日の水分摂取量を見直してください。脱水や過剰水分によって、体が不調を起こしている可能性が考えられます。
たとえば冷たい水を飲みすぎると、血液循環に影響します。かといって水を飲まない習慣もよくありません。水分の流れの不安定化が、むくみの原因だからです。そのため体のどこかにむくみが現れたら、水分摂取について見直す必要があります。
摂取量を適度に調節して、体のむくみを防ぎましょう。どのような食べ物や飲み物も、バランスのよい摂取が欠かせません。
運動不足
足のむくみの原因として、運動不足も挙げられます。運動不足がきっかけで生活習慣病になり、場合によっては腎不全や甲状腺の病気などにつながることも考えられます。そうなると病気のサインとして、体がむくむことがあります。
足がむくむ人の中には、一日の運動量が少ない人がいます。下肢の筋肉収縮が少なくなってしまっているのが原因の一つです。たとえば毎日デスクワークが続き、運動の習慣がまったくない方は注意してください。運動不足によって体型が崩れるだけでなく、思わぬ病気につながるかもしれません。これを防ぐには、従来より運動量を多くしてください。
塩分の摂りすぎ
塩分の摂りすぎも、体のむくみにつながります。体内の水分と塩分のバランスが乱れることがその要因です。不健康な食生活によって、体に不調が現れます。「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満が目標量とされています。これにより高血圧や心血管疾患などのリスクも抑えます。血流の問題を起こさないためにも、塩分摂取量のコントロールは大切です。
たとえば料理に塩をかけすぎるのはよくありません。ラーメンや丼もののように、もともと塩分の多い料理も見られます。これらをよく食べる人は要注意です。気がつかないうちに塩分が多くなり、様々な体調不良につながります。摂りすぎないためにも、日々の食生活に注意しましょう。塩分の過剰摂取を感じたら、メニューを見直してください。
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスの乱れで、体がむくむことがあります。とくに女性は、ホルモンに影響を受けるケースが見られます。妊娠や生理などが代表例で、その影響から体がむくむことがあります。
たとえば生理前に、体がむくみやすくなる人がいるでしょう。これは黄体ホルモンの活性化によるもので、体内に余分な水が溜まりやすくなります。
このように女性特有の健康的現象によって、体がむくむケースもあります。気になる方は、医療機関に相談してください。
むくみ解消の大切なポイント
足のむくみ対策の重要なポイントを紹介します。まずは末梢血管を温めることです。ほかにも適度なカリウムの摂取、生活習慣の見直しなどもしましょう。むくみ対策の要点を、以下で3点見ていきます。
血流の改善
むくみの原因のひとつが血行不良です。そのため血流の改善が大切になってきます。また、体が冷えると血流も悪くなるなるので、温める行動や保温は欠かせません。
たとえば自宅で簡単なストレッチをするだけでも、末梢血管の血流を改善し温度を上げることができます。とくに下半身を意識したストレッチが重要です。スクワットなどにより、血行促進を望めます。毎日の適度な運動が、むくみ対策になるのです。末梢血管の血流を保ち冷やさないためにも、運動の習慣を身につけてください。
カリウムの適度な摂取を心がける
むくみ対策の一つとして、カリウムの摂取も大切です。カリウムはミネラルの一種で、ナトリウムの排出作用があります。体のむくみはナトリウムの溜まりすぎでもあるので、その対処法として有効なのです。
塩分摂取量の多い方にも、カリウムは重要です。塩分の調節をはかることで、高血圧対策をはじめ生活習慣病予防などの健康管理につながります。「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、生活習慣病の予防を目的とした場合、成人男性は一日あたり3000mg以上、女性は2600mg以上が理想といわれています。カリウムが多い食べ物として刻みこんぶ、焼きのり、ぶどう、かきなどがあります。栄養バランスを考えながら、食事に取り入れてみましょう。
生活習慣を見直す
足のむくみの解決には、生活習慣を見直しましょう。規則正しい生活は、むくみの要因となるストレスなどを軽減できるからです。不規則な生活を続けていると、次第に体のどこかしらに不調を感じてくるでしょう。もしそのような自覚があるのなら、日々の生活リズムを確かめ、できるところから改善してください。
たとえば立ち仕事や座り仕事を長時間続けている方は、運動習慣の見直しが重要です。長時間同じ姿勢でいると、筋ポンプ作用が働かず、血流に影響するからです。血流が悪くなれば、足がむくむ可能性があります。それを防ぐには運動が欠かせません。ほかにも塩分を摂りすぎている場合は、塩分控えめを心がけた食事を続けてみましょう。食生活の乱れを正すだけで、体が好調になるかもしれません。生活の一部分を改善することで、足のむくみが和らぐ可能性は高くなるでしょう。
足のむくみの対処法5つ
足のむくみには、適切な対処が欠かせません。水分不足や摂りすぎている場合は、一日の摂取量を調節しましょう。ほかにも運動やマッサージなどで、足の状態を改善できます。主な対処法を、以下で5つ見ていきましょう。
水分を摂る習慣をつけよう
まずは適切な水分摂取を心がけてください。摂取水には3種類あり、それぞれの量は以下のとおりです。
種類 | 摂取量 |
飲料水 | 1.2L |
食事から摂る水 | 1L |
体内で作る水 | 0.3L |
合計 | 2.5L |
このように人間には、一日2.5Lの水が必要です。そのうち半分以上は、食事などから自然に摂ったり、体内で作られたりします。それでも飲料水として1.2Lは必要です。
人間に必要な水の2.5Lは、一日の水分排出量の値でもあります。排泄や排便時に1.6L、呼吸や汗で0.9L出ていくとされています。水分摂取が2.5Lより少なすぎても多すぎても、水分のバランスに影響して、足がむくむ可能性があります。個人差や生活スタイルの違いがあるとしても、以上のことから、一日に飲む水は1.2Lを目安とすることが理想です。
運動する
足のむくみを和らげるには、運動も大切です。目安として、一日最低5000歩は歩きましょう。それ以下が続くと、足がむくむ可能性が高まります。スマホにも歩数計の機能があるので計測し、自分がどれだけ歩いたかがわかれば、適切な運動量につながります。何となく運動するのではなく、活動量の可視化で習慣を安定させることが大切です。
仕事の合間には、足の運動がおすすめです。足相撲をしたり、タオルを足指で丸めたりすれば、自宅内でも立派な運動になります。専用の道具を使わずにできるので、誰でも実践できるでしょう。日々の運動の習慣が、足のむくみ対策になります。
マッサージを受ける
足のむくみ解消には、マッサージも選択肢です。とくに太ももの付け根への刺激がおすすめです。そこにはリンパ節があり、リンパの流れ改善がむくみ対策になります。
まずは両ひざを深く曲げて座りましょう。両手のひらを重ねる形で、太ももの付け根に当ててください。そこで体重をかけるように圧力を加えましょう。左右それぞれ5回ずつやります。一連の運動で、リンパが流れやすくなります。リンパ節のマッサージから、足のむくみを改善できるでしょう。
食生活の改善
足がむくんできたら、食生活を見直しましょう。ここではエネルギーの補給(炭水化物、たんぱく質、脂質)を考えた栄養バランスが大切です。エネルギーの補給不足は低栄養を招き、むくみの要因となります。
とくに一日3食を心がけてください。全体の栄養バランスも考え、健全な食生活を進めるのです。併せて過剰な塩分やカロリー摂取も考慮することが大切です。とくに塩分の摂りすぎはむくみの原因なので、一日の摂取量を見直してください。食生活の改善で足のむくみを抑え、身体全体の健康を管理できることでしょう。
適度に足を上げる
足のむくみに対処するには、足の運動が欠かせません。また、むくみが強い時には、足を心臓よりも高い位置にあげてみましょう。横になり枕や座布団などをかってリラックスします。
座っている時間が長い方は、できるだけ時間を見つけて横になり、足を高く上げるようにします。時々足の運動をプラスすることで、より効果的になります。
仕事の合間や家時間に、足を上げプラス運動をすれば、むくみ解消と一緒に健康維持にもつながります。
仕事の疲れを癒やすためのむくみケア
仕事の疲れを癒やす運動には、むくみケアになるものがあります。座ったままと立ったままのどちらでも、足のケアが可能です。代表的なむくみケアを、以下で見ていきましょう。
座ったまま
座ったままなら、大腿四頭筋の運動はいかがでしょうか。足の上げ下げがメインなので、デスクワーク時にも取り入れられます。
まずイスに背中をつけたまま座ってください。そこで3秒間片足を上げたままキープします。3秒経ったらゆっくり下ろしてください。2~3秒休んだらもう片方の足で同じ動作をします。左右それぞれで5回です。これをやるだけでも、足のむくみ改善が望めます。
立ったまま
立ったままなら、ストレッチや体操を試してみましょう。代表例がラジオ体操です。血行改善だけでなく、リラックス効果も見込めます。
朝起きて毎日ラジオ体操をするだけで、体の調子を整えられます。血のめぐりがよくなり、仕事にもメリハリが出るでしょう。またリラックス効果を見込めるので、ストレスにも対処できます。このようにラジオ体操は、さまざまな観点からむくみ対策に有用です。
まとめ
足のむくみは医学的には「浮腫」と呼ばれ、「組織間質に水分が過剰に溜まった状態」を指します。身近な原因としては、水分の不足や摂りすぎ、生活習慣や食生活の乱れなどがありますが、病的なむくみとして隠れた病気が原因となるものも多数あります。
そのため、一時的でないことや、他に体調の不安がある場合はできるだけはやく医療機関で診察を受けるようにしてください。そして、医師などの専門家の指導を受けつつ自ら取り組める対策を行うようにしましょう。
足を上げる運動やウォーキングなどで、血行改善が期待できます。ストレスで起きるむくみもあるので、これに対処できるのもメリットです。生活だけでなく運動量の見直しも、健康的な生活に欠かせません。健やかな毎日のためにも、適度に体を動かしてください。
足のむくみが気になる方は日々の生活を見直し、運動する時間を作りましょう。バランスの取れた生活によって、むくみのリスクを抑えられるからです。この記事をきっかけに日々の生活を考え、できるところから改善しましょう。