血圧の上が高いのは気になりますが、下が低くすぎても気になるものです。この記事では、下が低いのは大丈夫なのか、対処法や上と下のバランス、血圧のコントロール方法について解説します。この機会に血圧について、いろいろな方面から考えてみてください。
目次
血圧の上と下とはどういうことか
血圧の上は収縮期血圧、下は拡張期血圧といいます。収縮期血圧は心臓が収縮した時、拡張期血圧は心臓が拡張した時の血圧です。
心臓が収縮した時が上の血圧
上の血圧が測定されるのは、心臓が収縮して押し出された血液が血管の壁を押すタイミングになります。
心臓の収縮により血液が押し出され、大動脈が膨らみ血液がたまります。この時にかかる高い圧力が上の血圧=収縮期血圧です。短時間で血液を送るには、高い圧力が必要になるため、血圧が上昇します。
拡張期血圧は心臓が拡張する際にかかる圧力
拡張期血圧は、収縮した心臓が元に戻るタイミングで血管にかかる圧力です。この時心臓から血液は出ませんが、ゆっくりと血液は流れているため収縮期ほどの強い圧力はかかりません。
血圧の下が低いのは大丈夫?
血圧の下が低い場合は、どうしたらよいでしょうか。ここでは、血圧の上と下とはどういうことか、下が低い場合に様子を見ていて良いものか、どんな時に注意が必要なのか解説します。
低血圧には明確な基準はない
まず、全体の血圧が低い場合、つまり低血圧について説明します。低血圧には明確な基準が無いのですが、一般的には上の血圧が100mmHg~110mmHgとすることが多いようです。低血圧の場合でも、高血圧と同じように測定する条件によってばらつきがあるので、1回だけで決めてしまうのは避けるよう、測定条件に注意をすることが必要です。
血圧が通常より低い時は、ストレスや疲れをためず、バランスの良い食事に気を付けたいものです。もしも、ふらつき、めまい、朝起きられない、頭痛、倦怠感、疲労、動悸、立ちくらみ、失神など、気になる症状があれば、医師に相談した方が良いです。
低血圧は女性に多いです。女性は高齢になるまでは、男性より血圧が低めです。
上が高く下が低いなら注意したい
上の血圧が高く、下が低いという場合は要注意です。特に血圧の上と下の差が60を超えるようであれば、気を付けたいものです。
上と下の血圧の差が大きい方は、大動脈硬化が疑われることがあります。動脈硬化は喫煙、肥満、糖尿病、コレステロール、運動不足などの危険因子が重なることが原因と考えられます。
気を付けた方が良い人のタイプを挙げます。
- 脂っこい物が好き。
- タバコ、お酒が好き。
- 高脂血症を指摘されたことがある。
- 野菜や果物をあまり食べない。
- 高血圧と言われたことがある、
- 家族に高血圧の人がいる。
- 肥満を指摘された。
- 塩辛い物が好きでよく食べる。
- 早食いである。
- スナック菓子が好き。
- ご飯やパン等の糖類をよく食べる
- 家族や親族に高血圧の人がいる
血圧の下が低い場合の対処法
上と下の血圧の差が大きく、めまいやふらつきなどの症状が現れた場合は病院に行き、医師のアドバイスをよく聞くようにしてください。
受診すべき診療科目やアドバイスの聞き方について説明します。
内科か循環器内科を受診
血圧の下が低い場合に受診するのは、内科か循環器内科が適切です。ここで、内科と循環器内科の対象の違いを紹介します。
内科で診察可能な症状や疾患は以下です。
- 風邪
- インフルエンザ
- めまい
- 頭痛
- 発熱
- 腹痛
- 下痢
- 吐き気
- 高血圧
- 糖尿病
- メタボ等
これらの他にも呼吸困難、関節痛など、さまざまな症状や疾患を診察できます。こんな症状があるけれども、また、何科にかかるべきかわからない場合の相談に乗ってくれます。
次に循環器内科です。循環器内科は、主に血液の流れに関する症状や疾患を診察してくれます。以下に診察できる症状や疾患を挙げます。
- 高血圧症
- 狭心症
- 心筋梗塞
- 肺寒栓症
- 大動脈解離
- 不整脈等
自宅に近く、通いやすいところを探してみて下さい。インターネットで評判の良いところを探してみるのも良いのではないでしょうか。
医師のアドバイスを聞く
受診して医師のアドバイスをきちんと聞いてください。わからないことなどがあれば、遠慮なく質問することも大事です。
医師に聞くと良いことです。
- 考えられる原因
- 治療法
- 服用する薬
- 通院の頻度
- 仕事への影響
- 日常生活で注意する事
その他、気になることがあれば、どんなことでも聞いて大丈夫です。すぐに忘れてしまいそうと思ったら、メモを取るのもおすすめです。スマホのメモ機能を利用する方法もあります。
血圧の上と下のバランス
血圧の上と下のバランスについて解説します。理想のバランス、バランスが悪い場合に正常血圧とは言えない理由についてです。
40~60mmHgが理想
血圧の上と下の差は40~60mmHg前後が理想と言われています。たとえば、上が120、下が75など。したがって、上が140、下が60のように上が高く、下が低いのであれば、対処が必要になる場合もあります。
バランスが悪いと正常血圧にならない
血圧の上と下のバランスが悪いと正常血圧とは言えません。この血圧の上下のバランス=差のことを脈圧と言います。
脈圧は50~60歳を堺に急激に上昇するといわれています。高齢者にとっては、この脈圧と収縮期高血圧が密接に関連して、心血管に対する症状の危険因子となるため注意しなければなりません。
なお、血圧の正常範囲は上が120未満、下が80未満です。たとえ上の血圧が正常範囲内であっても下が低く、その差が大きいのであれば、医師に相談してみてください。
血圧の測定方法に気を使う
血圧の話題として全体的に言えることですが、血圧は測り方により誤差が生じやすいので、正しい測り方で測ることが大事です。ここで血圧の正しい測り方を紹介します。
測定位置は、心臓の高さに近く測定値が安定する上腕部です。測定時は朝の起床後1時間以内、トイレを済ませた服薬前が良いとされています。座ったまま1~2分安静にした後に測ります。
晩は就寝前がおすすめです。朝のように座ったまま1~2分安静にして測ってください。継続して行い、数値をノートなどに書いておくと診察時に医師に見せられます。
血圧をコントロールするには
血圧を正常範囲にコントロールしたいものです。それには食生活、飲酒、適度な運動、ストレスのためすぎに留意してください。
ここでは、おすすめレシピも紹介しています。
食生活に気を付ける
血圧を良好な状態にするには食生活が大事です。ポイントを挙げてみます。
- 塩分控えめ(目標:成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満)
- 野菜や果物を積極的にとる
- 脂質を抑えるためにコレステロール、飽和脂肪酸を摂らない
- 魚を積極的に摂る
- 肥満にならないようにカロリーに気を付ける
- スナック菓子などを食べないようにする
特に塩分摂取は控えめにしたいものです。
体内の塩分濃度は一定に保たれなければいけません。そのため、塩分を多く取り込むと高くなった塩分濃度を下げるために水分が必要になり、心臓が収縮して血液を取り込みます。それによって血管に大きな圧力がかかります。
ここで、血圧上昇を抑えるための、塩分・カロリー控えめのレシピを2つ紹介します。魚や野菜をふんだんに使った簡単レシピです。
①おすすめレシピ「白身魚のレモン蒸し」
材料 1人分
- ひらめやメカジキ、タラなどの白身魚 1切れ
- 国産レモン2分の1個
- 赤パプリカ2分の1個
- 玉ねぎ2分の1個
- オリーブ油 大匙2分の1
- 酒 大匙2
- パセリのみじん切り 適量
作り方
レモンは薄い輪切り、赤パプリカは細目、玉ねぎは薄切りにしまにします。フライパンにオリーブ油を入れ、魚を両面焼きます。次にフライパンの空いている場所で玉ねぎとパプリカを炒めます。そこにレモンを並べて酒を入れます。そして、蓋をして約7分ほど蒸し焼きにして出来上がりです。
このレシピの栄養
- カロリー:253kcal
- 塩分:0.5g
②おすすめレシピ「無限なす」
材料 3人分
- なす 3本
- ツナ缶 1缶
- 塩こしょう
- 砂糖 小さじ2分の1
- ガラスープの素 小さじ1
- ごま油 大匙1
- 大葉 2枚
- 白ごま 適量
作り方
なすは細く切り、5分水につけてあく抜きをし、耐熱容器に入れます。あく抜きしたナスとツナ、塩こしょう、砂糖、ごま油を入れて混ぜ、電子レンジ600W5分で加熱します。トッピングと白ごま、千切りの大葉をふりかけます。
このレシピの栄養
- エネルギー:121kcal
- 塩分:0.8g
なすはカリウムが豊富に含まれています。カリウムは塩分の摂りすぎを抑えるのに役立ちます。
飲酒を控える
お酒飲みの人にはつらいものですが、お酒はあまり大量に飲まない方が良いです。飲酒の最中は血圧が下がりますが、飲みすぎると血圧が上昇傾向になります。
適量を守るようにしてください。
適量の一例です。日本酒であれば1合、ビールは中瓶1本、焼酎は半合弱までです。そして、ウイスキーやブランデーはダブルで1杯、ワイン2杯までとします。
また、お酒のつまみも塩分が多いので控えめにしたいものです。どのくらい塩分が含まれているか挙げてみます。
- ホッケの開き200g:4.5g
- イカの塩から:1.4g
- 辛子明太子30g:3.1g
- 枝豆40g:0.2g
- 焼き鳥3本:1.4g
- 野沢菜漬け30g:0.7g
- ビーフジャーキー40g:1.9g
- しめのラーメン:6g
- しめのお茶漬け:2g
せっかく飲酒量を控えても、上記のおつまみをたくさん食べてしまうと塩分過多になるので、気を付けたいものです。
逆に塩分控えめのおつまみもあるので紹介します。
- おひたし
- サラダ
- 冷やしトマト
- キャベツのざく切り
- カルパッチョ
しょうゆやドレッシングのかける量を少なめにするなど、調節ができるおつまみ、野菜もとれるおつまみがおすすめです。
適度な運動
運動不足は血圧を正常に保つのに良くないものです。適度な運動をすることで、血圧のコントロールに期待ができます。
運動することで血管内皮機能を改善できます。それにより、降圧効果が得られると考えられています。
継続して行う有酸素運動によって、上の血圧を3.5mmHg下げられ、下の血圧を2.5mmHg下げる効果があるとしています。
おすすめの運動です。1日30分を目標に行いたいものです。
- 速足のウォーキング
- ジョキング
- 水泳
- 自転車漕ぎ
- ラジオ体操
たとえば、仕事に行く前に15分くらい自転車漕ぎの運動して、帰宅後に15分ほど近所をウォーキングといった形でも大丈夫です。
また、YouTubeを活用したり、スポーツジムなどに通ったりするのもおすすめです。最近はYouTube動画で家でもできる簡単なとレーニング動画などが多く配信されています。
ストレスをためない
ストレスも血圧によくありません。会社、人間関係など、ストレスはあらゆるところに存在します。
そんなストレスをためない方法です。
- 早寝・早起きといった規則正しい生活をする
- 十分に睡眠をとる
- お風呂にゆっくり入る
- 趣味を楽しむ
- 良かったこと、楽しかったことのみを日記に書いて嫌なことを忘れる
- 本音で話せる相手を見つける
早寝早起きで生活リズムをつくることで、ストレスをためずに発散できます。そして十分に睡眠をとることで、気持ちがリフレッシュします。
また、ゆっくりお風呂に入ることで心身共に癒され、ストレスを忘れます。そして、楽器演奏、絵画、読書、手芸など、好きな事に没頭するとストレスを忘れるものです。さらにストレスの元になるような嫌なことを振り返らないために、いいことのみを日記に書きます。こうすることで、ストレスを忘れて前向きな生活ができます。
まとめ
血圧の上と下のバランスが悪いと気づいた場合は注意してください。理想的な血圧は上と下の差が40~50mmHgといわれています。
もし上記の数値以上に差が開いている場合には、動脈硬化の可能性も考えられますので、必ず医師などの専門家に相談するようにしてください。
血圧の数値は、測り方にもよるので、正しい測り方であるのかも、きちんと確認したいものです。
また、血圧にはマイナス要素である肥満、飲酒、塩分のとりすぎなどは、他の病気の発症を招くことがあるので、気を付けたいものです。
血圧は、うまくコントロールすることで改善が期待できます。塩分に気を付けながら食生活を見直す、お酒をほどほどにする、適度な運動をする、ストレスをためないといったことで対策をしましょう。
血圧は数値のみでなく、上と下のバランスにも気を配りたいものです。