健康診断で血糖値が高いと指摘されたことはありませんか?血糖値の高い状態をそのままにしていると、深刻な病気を引き起こすきっかけになりかねません。もし血糖値が高いことがわかった時は、医療機関で相談するようにしてください。それとあわせて、生活習慣を見直すことも重要です。とくに食生活の改善が求められます。ここではどのような食べ物を意識して摂取すべきか、以下にまとめました。また何を食べるかだけでなく、どれから食べるか順番も重要です。血糖値を下げるための食事の取り方についても紹介しますので、ぜひとも参考にしてみてください。
目次
血糖値が高い状態とは?
血糖値とは血液中に含まれる、ブドウ糖の濃度のことを指します。血糖値は高すぎるのも低すぎるのも、好ましくないといわれています。
私たちは食事をした直後、血糖値が上昇するものです。しかししばらくすると、また正常値に血糖値は下がります。これはインスリンの働きによるものです。脾臓から分泌されるホルモンの一種で、血液中の糖分を身体の細胞に取り込むことで血糖値が下がります。血糖値が高い状態は、インスリンが十分に分泌されていないか、分泌されてもしっかりと働いていない状態です。
血糖値は、通常であれば空腹時で70~100mg/dlです。なお、メタボリックシンドロームの診断基準では空腹時血糖が110mg/dl以上を高血糖としています。このように血糖値を上昇させないよう生活習慣に気を配らなければなりません。
血糖値が高い状態が続くと
血糖値の高い状態だけでは、なかなか自覚症状は現れないかもしれません。だからといってそのまま放置してしまうと、重大な結果を招きます。まず、食後血糖値の高い状態が続くと、糖尿病の発症リスクが高まります。さらに放置しておくと血管障害が進み、脳卒中や心筋梗塞などを引き起こす恐れがあるのです。
糖尿病の怖いところは、網膜症・腎症・神経障害など、自覚症状が無いまま重篤な合併症が進展してしまうことです。
コンビニでも手に入る血糖値対策ができる食べ物
血糖値が高めと指摘されたのであれば、食生活の見直しに着手しましょう。過食や偏食を避けて、1日3食規則正しく栄養バランスのとれた食事を心がけることです。また血糖値対策として期待できる食べ物がいくつかあります。以下ではコンビニで購入でき、手軽に食べられるものをいくつかピックアップしてみました。いずれも食べやすいので、まずは意識して取り入れてみましょう。
ヨーグルト
ヨーグルトを食べると糖尿病リスクが低下するという、研究結果が数多く報告されています。ハーバード公衆衛生大学院栄養学部が、10万人以上を対象に調査を行いました。その結果ヨーグルトを毎日食べる人は、2型糖尿病の発症リスクが18%減少することが判明しました。
まずヨーグルトは栄養バランスの取れた食べ物であることが、大きく関係しています。カルシウムやマグネシウム、ビタミンA、B群などの栄養素が多く含まれています。その中でも血糖値に関係していると見られているのが、乳清タンパクと呼ばれる栄養分です。
炭水化物を摂取するためにこの乳清タンパクを摂取すると、GLP-1という消化管ホルモンの分泌が活性化します。GLP-1にはインスリン分泌を促す作用があります。結果的にインスリンの働きが活性化され、食後血糖値の上昇を抑制できると考えられているのです。
他にもプロバイオティクスと呼ばれている微生物が、ヨーグルトには含まれているものがあります。プロバイオティクスは、腸内フローラのバランスを改善することで人の健康に良い影響を与えてくれる働きがあります。代表的なものに乳酸菌やビフィズス菌があります。これらの有用菌には整腸作用があるといわれており、例えばビフィズス菌BB536という株を機能性関与成分として届出た機能性表示食品には、大腸の腸内環境を良好にし、腸の調子を整える機能があることが報告されているものがあります。
また、ビフィズス菌BB536を機能性関与成分として届出た機能性表示食品にはその他にも、便秘気味の人の便通を改善する機能や、花粉、ホコリ、ハウスダストなどによる鼻の不快感を軽減する機能が報告されているものもあります。体調管理に心強い味方といえるでしょう。
納豆などの大豆製品
日本人になじみのある食べ物として、納豆などの大豆製品があります。この大豆製品も血糖値を下げる作用があるのではないかと、期待されています。とくに大豆製品の中でも納豆に血糖値のコントロール作用が、強く期待できるとされているのです。
日本の大手食品メーカーが、そのような研究結果を発表しています。被験者として健常男性12名に、ご飯のみ・ご飯と納豆、ご飯と蒸し煮大豆をそれぞれ摂取してもらい、食後血糖値を測定しました。納豆を食べた場合、ご飯のみに対して食後120分間常に血糖値は低いという結果が出ました。最初の60分に関しては、血糖値の抑制作用が有意に確認されたのです。しかも納豆を食べた場合の方が、大豆を食べたときと比較して、血糖値の上昇抑制効果が高い傾向にありました。
なぜ納豆が食後血糖値を抑制できるのか、食物繊維が関係していると見られています。食物繊維は糖分を包み込み、体内に吸収されるのを阻害します。その結果食後血糖値の上昇を抑制できるとみられているのです。大豆と納豆を比較した場合、水溶性食物繊維が納豆の方に約1.5倍も含まれています。
ハイカカオ
ハイカカオチョコレートもコンビニで販売されています。「ダークチョコ」と呼ばれることもあるものです。ハイカカオチョコレートとは、全重量に対してカカオの占める割合「カカオ分」が、70%以上のものを指します。このハイカカオチョコレートを食べると、血糖値を下げる効果が期待できるのです。血糖値とハイカカオの関係に関する調査も実施されています。2型糖尿病患者60人に対して8週間ダークチョコレートとホワイトチョコレートを摂取してもたったところ、ダークチョコレートを食べたグループでは、空腹時血糖やヘモグロビンA1cなど糖尿病を診断する指標のいくつかに低下傾向が認められました。
なぜハイカカオチョコレートが血糖値を下げるのか、カカオポリフェノールという成分が関係していると考えられているからです。カカオポリフェノールには、インスリンの働きを改善する効果があるのではないかとみられています。インスリンの働きが活発になれば、血糖値も速やかに下げられるのです。
また、カカオポリフェノールを機能性関与成分として届出た機能性表示食品には、冷えにより低下した末梢血流を改善することから、手先の表面温度を暖かく保つ機能があるといわれているものがあります。
野菜で血糖値のコントロールにおすすめなものは?
血糖値を下げるために食生活を見直すのであれば、野菜も意識して摂取するのがおすすめです。野菜には食物繊維の多く含まれている食材が多いからです。食物繊維には糖分を吸着して排出する働きがあります。それでは具体的に、どのような野菜を食べるべきかについてみていきましょう。
カボチャやジャガイモなどのイモ類
イモ類は血糖値を下げるためには、あまり大量に食べないほうがよいと考えられています。イモ類はいわゆる糖質が多く含まれている食材で、食べると血糖値の上昇を招くと考えられているからです。ただし量や種類に気を付ければ、食べてはいけないものではありません。
とくに血糖値対策としておすすめなのが、サツマイモです。サツマイモには食物繊維が豊富に含まれているので、糖分を吸着して排出するからです。ただし調理方法には注意してください。サツマイモを食べるには、ふかしいもがおすすめです。
豆製品
豆製品、とくに大豆製品を食べる習慣をつけるのは、血糖値を下げるためにおすすめです。大豆を食べることで糖尿病のリスクが低下することは、さまざまな研究で発表されていることです。
国立国際医療研究センターでは、日本人6万人を対象にして5年間追跡する大規模研究が行われました。その結果大豆製品を食べることで、肥満や閉経後の女性で2型糖尿病のリスクの低下することが判明しました。大豆イソフラボンが、インスリンの感受性を改善したためと考えられています。
なお、大豆イソフラボンを機能性関与成分として届出た機能性表示食品には、骨の成分の維持に役立つ機能があることが報告されているものがあります。
血糖値を上げないようにするためには食べる順番も大切
血糖値を上げないようにするためには何を食べるかだけでなく、どういった順番で食すのがよいかもポイントのひとつです。血糖値を下げるための食べ方について紹介しますので、これからの食事の参考にしてみてください。
野菜から食べ始めよう
血糖値を上げない食べ方を意識するのであれば、まず野菜を食べるようにしてください。野菜には、食物繊維が豊富に含まれているからです。食物繊維を先に食べると次に糖質を摂取しても、その消化・吸収のペースを抑えてくれます。その結果食後血糖値の急激な上昇を抑制できるわけです。
たとえばとんかつなどの定食を頼んだ場合、おかずに付け合わせとしてキャベツの千切りやサラダのついていることも多いでしょう。この場合まずはこのキャベツの千切りやサラダを先に食べてから、とんかつなどメインのおかずを食べるように心がけましょう。
城西大学ではご飯を食べる順番と、血糖値の推移に関する研究を発表しています。その結果サラダを先に食べた場合、ご飯を先に食べた場合と比較して食後30分の血糖値が、おおよそ1/5程度に抑制できました。
次に食べるものはたんぱく質
野菜類を食べた後で、今度は肉や魚のたんぱく質を多く含まれる食材を食べましょう。炭水化物と比較すると、たんぱく質の方が血糖値はあがりにくいからです。しかもタンパク質の場合、炭水化物と比較すると消化時間もかかりがちです。タンパク質の消化や吸収にかなり手がかかりますので、糖質の吸収を緩やかにできます。
炭水化物は最後に摂取
そして最後に摂取するのが、炭水化物です。野菜やタンパク質の食材をすでにしっかり食べているので、炭水化物を食べても、消化や吸収に時間がかかってしまいます。その結果食後血糖値の上昇を緩やかにできるわけです。
よく海外の料理で一品ごとに出てくるコースがあるでしょう。あれを見るとおおよそサラダに始まりスープが出て、肉や魚のメイン料理、最後にパンもしくはライスが出てくることが多いでしょう。自宅で食事をする際には、このコース料理をイメージして食べる順番を意識してみるのがおすすめです。
血糖値のコントロールには食事+運動
血糖値をコントロールするために、食事療法は確かに重要です。プラス運動を取り入れることで、より効果も期待できます。血糖値を下げたければ、運動する習慣も取り入れてみてください。運動することで筋肉への血流は増します。そしてエネルギー源としてブドウ糖が次々と消費されます。
またトレーニングすることで、筋肉が増えるでしょう。筋肉が増えると、インスリンの効果が高まるといわれています。専門的には「インスリン抵抗性の改善」といいます。このような複数の効果によって、血糖値は下がりやすくなるでしょう。
しかし激しいトレーニングをすると、逆効果になることがあります。負荷の強い運動を続けると、アドレナリンやグルカゴンと呼ばれるホルモンの分泌が促されます。これらのホルモンには血糖値を上げる働きがあるので、一時的に血糖値が上がってしまうのです。有酸素運動など、あまり負荷のかからない運動を長時間続けるのがおすすめです。
まとめ
血糖値が高い状態を放置していると、糖尿病や心筋梗塞などの発症リスクが高まります。そうならないために血糖値を下げるための、対策を講じる必要があります。
そこでおすすめなのが、食生活の改善です。栄養バランスのとれた食事や1日3食の規則正しい食事を心がけましょう。加えてここで紹介した血糖値を下げる効果の期待できる食べ物を、積極的に摂取してください。また同じ食事でも食べる順番をどうするかによって、血糖値の上がり方も変わっていきます。野菜を最初、最後に炭水化物を摂取するように心がけましょう。