健康診断や血液検査で「血糖値が高い」と、指摘されたことはありませんか?そのように指摘されてもいまいち実感が湧かない人も多いでしょう。血糖値が高い状態が続いても、自覚症状の現れないことが多いからです。それでは血糖値が高い状態をそのままにしてよいかというと、決してそうではありません。また血糖値は高すぎても低すぎても、健康に悪影響を及ぼすことがあるため、注意が必要です。血液検査などで血糖値が高いことを指摘された方は、医師などの専門家に相談することをおすすめします。また、一方で血糖値は生活習慣を見直すことで、コントロールも可能です。ここでは血糖値対策に優れた飲み物、とくにお茶についてくわしく見ていきます。どのようなお茶を飲めばよいか、飲み方で注意すべきポイントについてまとめましたので、参考にしてください。
目次
血糖値が上がっている状態とは
血糖値が上がっている状態とは、血液中のグルコースと呼ばれる糖質の一種の濃度が濃くなっていることを指します。私たちが食事で炭水化物を摂取すると、体内で消化吸収されます。この過程の中でグルコースになり、日々の活動のエネルギー源になるわけです。そのため食事を摂取すると、健康な人でも一時的に血糖値が上がります。ただし慢性的に血糖値が高い人は食事後に異常な血糖値になる、もしくは空腹時でもきちんと血糖値が下がりません。
血糖値の高い状態が続くと?
血糖値が高くても、特段自覚症状がないという人も多いものです。しかし血糖値の高い状態が続くと、かなり大きな問題になります。糖尿病の原因となるからです。自覚症状がないまま合併症が進行し、動脈硬化を経て心臓病や脳卒中のリスクが高くなります。
血糖値が下がりすぎると?
血糖値の低すぎる状態が続くのも、好ましくありません。脳などの重要な臓器は、血液に含まれる糖分がエネルギー源です。脳へのエネルギーが足りなくなり、異常に血糖値が低下するとけいれんを起こしたり、意識を失ったりすることもあります。
血糖値が気になる人におすすめしたいお茶
血糖値が高いといわれたら対策を早めに講じたほうがよいでしょう。血糖値対策の方法はさまざまとあるなか、飲み物を見直すのも一考です。ジュースなど糖分の多い飲み物を控え、お茶に変えるとよいでしょう。とくに血糖値をサポートするにあたっておすすめのお茶について、いくつかピックアップしてみました。
緑茶(エピガロカテキンガレートを配合した機能性表示食品)
食後の血糖値の上昇を抑えたければ、緑茶がおすすめです。なぜなら、緑茶に含まれるエピガロカテキンガレートという成分を機能性関与成分として届出た機能性表示食品には、食後血糖値の上昇をおだやかにする機能が報告されているものがあるからです。緑茶の成分と血糖値の関係は研究でも立証されているのです。研究ではエピガロカテキンガレートを含む緑茶を飲んだグループと飲まないグループを比較したところ、飲んだグループでは食後の血糖値の上昇が穏やかになることがわかりました。このエピガロカテキンガレートを含むカテキンとは、緑茶などに含まれるポリフェノールの一種で、渋味や苦味の元になる成分です。
また、お茶ではありませんが、エピガロカテキンガレートを機能性関与成分として届出た機能性表示食品には、BMIが高めの人の体脂肪を減らす機能や、LDL(悪玉)コレステロールを減らす機能があることが報告されていたり、口内環境を良好に保つ(歯垢の生成を抑える)ことが報告されているものもあります。血糖値対策以外でもいろいろなメリットがある成分です。
菊いも茶(イヌリンを配合した機能性表示食品)
最近話題になっている菊いも茶は、血糖値ケアに効果があるといわれているものです。その鍵を握っているのが、イヌリンです。イヌリンとは水溶性食物繊維の一種で、摂取したイヌリンは体内の糖質を包み込む働きがあるといわれています。そして消化・吸収させずに、そのまま排出されるわけです。
このイヌリンを機能性関与成分として届出た機能性表示食品には、食後の血糖値の上昇を緩やかにする機能のあることが報告されているものがあります。また、腸内のビフィズス菌を増やし、特に便秘傾向者において排便回数・排便量を増やす機能がることも報告されているので、お腹の調子の改善にも期待できるお茶です。
プーアール茶(プーアール茶由来没食子酸を配合した機能性表示食品)
プーアール茶は、後発酵と呼ばれる発酵方法で作られた黒茶の一種です。製造工程で微生物や黒麹菌を茶葉に繁殖させて作るもので、緑茶やウーロン茶に比べ、没食子酸(タンニンなどを加水分解して得られる成分)を多く含んでいるのが特徴です。研究では食事をとる前にプーアール茶を飲むと、飲まなかった時と比べて食後血糖値の上昇を抑えることがわかりました。
その成分であるプーアール茶由来没食子酸を機能性関与成分として届出た機能性表示食品には、食事の時の糖の吸収を抑え、食後の血糖値の上昇をおだやかにする機能が報告されているものがあります。また、肥満気味な方の体脂肪(内臓脂肪)とBMIを減らす機能についても報告されていますので、食事の際にはおすすめしたいお茶です。
紅茶
血糖値をコントロールしたければ、紅茶を飲むのもおすすめです。糖分を体内に吸収すると酵素によって分解されます。紅茶にはこの酵素の働きを抑制する効果があるといわれています。糖の分解が抑制されるので、食後の血糖値の上昇を抑える効果があるのではないかとみられているのです。
たとえば小腹が空いてお菓子をどうしても食べたくなったら、紅茶と一緒に摂取するとよいでしょう。血糖値の上昇を抑制できるからです。
ただし紅茶を飲む場合には、注意も必要です。紅茶を飲むにあたって、砂糖やミルクを入れる人も多いでしょう。しかし砂糖やミルクには糖分が含まれているので、せっかくの血糖値抑制効果も半減してしまいます。血糖値対策のために紅茶を飲むのであれば、無糖で飲むように心がけてください。
血糖値がとくに気になる人のインターネットでのお茶の選び方
今は自分でお店に行かなくても、パソコンやスマホがあれば色々なタイプのお茶を購入できます。ただ、情報の量が多すぎて、具体的にどれを購入すればよいかわからないという人もいるはずです。そこで血糖値対策に優れたお茶の選び方のポイントについて、ここでまとめました。
キーワードを入力する時のコツ
お茶をインターネットで購入する際には、キーワードで絞り込んでいきましょう。あまり大きな単語だとヒットする範囲が広すぎるので、成分を入力すると意外と簡単に目当てのものが見つかるかもしれません。血糖値対策のためにお茶を買い求めるのであれば、例えば、難消化性デキストリン、サラシア由来サラシノール、イソマルトデキストリン、エピガロカテキンガレート、ボタンボウフウ由来クロロゲン酸、イヌリン、桑の葉イミノシュガー、プーアール茶由来没食子酸あたりの成分の含まれるものがおすすめです。
今あげた成分の中でも、バリエーションが豊富なのは難消化性デキストリンを配合したお茶になります。難消化性デキストリンとはトウモロコシのでんぷんから作られた食物繊維のことです。無色透明で味や触感は少ないです。難消化性デキストリンが開発されたのは、日本人の食生活の変化が背景にあるといわれています。食生活が欧米化したことで食物繊維の摂取が減少しました。そこで足りない食物繊維を補うために作られました。
難消化性デキストリンを機能性関与成分として届出た機能性表示食品のお茶には、食事から摂取した糖の吸収をおだやかにして、食後の血糖値の上昇を抑える他にも、食事から摂取した脂肪の吸収を抑えることが報告されています。さらに、お腹の調子を整える機能も報告されているので、難消化性デキストリンの含まれているお茶を選ぶのもいいでしょう。
血糖値対策に良い飲み物を毎日の生活習慣にするポイント
血糖値をコントロールするためにお茶を飲むことは大事です。しかしお茶は薬ではないので、数日飲んだだけで効果が現れるわけでもありません。毎日飲む習慣をつけることで、血糖値をコントロールできるようになります。毎日の習慣にするために、気を付けるべきポイントについてまとめました。
飲みやすい味であること
いくらお茶が健康によいといってもまずいと思えば、毎日飲み続けるのは厳しいでしょう。そこで飲みやすい味のお茶を選ぶことが大事です。お茶を飲む際にはさまざまな種類や商品のものを飲んでみましょう。そして自分の舌に合うものを探してください。
またお茶の作り方も多種多様です。パックのものもあれば、粉末状のものもあります。ペットボトルであれば、その場ですぐに飲めます。作りやすい・扱いやすいものを選ぶことも大事です。
続けやすい価格であること
血糖値対策のお茶を探す場合、値段の高いものの方がよいのではないかと考える人もいるでしょう。しかしあまりに高額のお茶だと、毎日飲み続けるのが難しくなるでしょう。毎日飲み続けるためにお茶の量をケチって薄くしてしまっては、本末転倒です。そこで毎日手軽に飲み続けられるようなリーズナブルな価格のものを購入するとよいでしょう。
ただし安さを追求するあまり、体に合わないものを購入するのもおすすめできません。体に合わないものを長期間飲み続けると、かえって体に負担がかかってしまって、マイナスの効果を招きかねません。コスパに優れ、自分の体に合うお茶を選びましょう。
時間を決めて飲むこと
お茶を飲む時間を決めると、毎日の習慣化につながりやすいのでおすすめです。朝起きたらまずお茶を飲む、外出先から帰宅したときにとりあえずお茶を飲むなど、飲むタイミングを決めるとよいでしょう。とくにおすすめしたいのは、日々の食事と一緒に飲む方法です。
血糖値は食後にグンと上昇する傾向があります。食事の時にお茶も一緒に摂取すれば、食後の血糖値の上昇を緩やかにできるでしょう。また食事をする時にお茶という意識をつければ、毎日の習慣化もしやすいでしょう。
お茶を飲むタイミングですが、好ましくない時間帯もあります。たとえば緑茶は確かに血糖値の上昇を抑制する効果は期待できます。しかしその反面、緑茶には利尿作用や覚醒作用があるともいわれているのです。つまり夜眠る前に緑茶を飲んでしまうとなかなか寝付けない、尿意を催して夜中何度もトイレに行くことになるなどの、支障をきたす可能性があります。緑茶を飲む習慣をつけるのであれば、夕食以降は飲まないようにするなど、うまく対処することが大事です。
まとめ
お茶に関してはおおむね食後の血糖値の上昇をおだやかにする効果が期待できるものです。もし血糖値が高めと自覚しているのであれば、のどが渇いたり水分補給したりするときにお茶を飲む習慣をつけましょう。今ではコンビニなどでペットボトルのお茶も数多く販売されています。ペットボトルを開けてその場で飲めるので、お茶をわざわざ沸かす必要もありません。
血糖値対策として、日々の生活習慣を見直すことは大事です。ジュースや清涼飲料水などの糖分多めの飲み物をなるべく控えて、お茶を飲むようにしましょう。また栄養バランスの取れた食生活を心がける、適度な運動習慣をつけるなど、全体的な見直しが求められます。規則正しい生活習慣を意識して、うまく血糖値をコントロールしましょう。