血液検査の結果、コレステロール値が高いと注意されたことはありませんか?もし悪玉コレステロール値が高ければ、下げる必要があります。悪玉コレステロール値を下げる方法として、食生活の見直しや運動習慣をつけることがあげられます。食事と運動でそれぞれどのような点に気を付ければよいかについて、以下にまとめました。
目次
コレステロールとは?
コレステロールは何かと悪者にされがちですが、それは多すぎると問題を起こすからです。しかし適量であれば、むしろコレステロールは私たちの体に欠かせないものです。
コレステロールには、LDLとHDLの2種類があります。LDLには肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ、HDLには余ったコレステロールを回収する(肝臓に運ぶ)役割があります。LDLが血液中に増えると血栓ができやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクが高まるのです。逆にHDLは動脈硬化の発症リスクを抑制する働きがあります。このことからLDLは悪玉コレステロール、HDLは善玉コレステロールといわれます。
生活習慣の見直しで悪玉コレステロール値を下げる方法
コレステロールの値が高いと、血液検査などで注意を受けるでしょう。そのまま放置していると、重大な病気を発症するリスクが高まるからです。特に悪玉コレステロール値が高いといわれたのであれば、早めに対処する必要があります。医師に相談することとあわせて生活習慣の見直しが大事です。食事を工夫したり、適度な運動したりすることで、コレステロール値を適正な範囲に戻すようがんばりましょう。
食事で対策する
コレステロール対策をするためには、基本的に栄養バランスの取れた献立を考えることが大事です。一度の食事でさまざまな食材を摂取するよう心がけましょう。タンパク質と脂質・炭水化物・ビタミン、ミネラルは五大栄養素といいます。この栄養分をバランスよく摂取できるような、料理を考えてください。
そのうえで、コレステロールの吸収を抑える働きがあるとされる大豆タンパク質の摂取を心がけるといいでしょう。大豆タンパク質を取り入れるには豆腐や納豆を選んでください。また、善玉コレステロールを減らさずに悪玉コレステロールを下げる効果が期待できる不飽和脂肪酸も積極的に摂るべきものです。不飽和脂肪酸には、オリーブオイルに豊富なオレイン酸、アジ・サンマなどの青魚に含まれるDHAやEPAなどがあります。
一方で、脂身の多い牛肉や豚肉、バター、生クリームなど、おもに動物性の脂肪に含まれる飽和脂肪酸があります。これまであまり良くないものとされてきましたが、じつはメリットもある脂質ということがわかってきました。もちろん過剰摂取は健康上いいことではありませんが、これら脂質の摂取はバランスが大切です。その比率は、動物性脂肪(飽和脂肪酸を多く含む)4:植物油5:魚油(不飽和脂肪酸を多く含む)1が望ましいとされています。
運動でコレステロールをコントロールする
運動する習慣を取り入れることも、コレステロール対策として有効といわれています。運動することによって、善玉であるHDLコレステロールを増やす作用があるといわれているからです。
おすすめはウォーキングです。ウォーキングは、誰にでも工夫次第で実行できる最も手軽な運動の一つと言えるでしょう。
コレステロール対策としてウォーキングを取り入れるのであれば、一日10000歩以上を目標に行なってください。研究では1日あたりの歩数を2週間にわたって記録したところ、10000歩以上だったグループは、それ以下だったグループと比べ、総コレステロールは低下し、善玉コレステロールは上昇したという結果が見られたということです。
ウォーキングは、手軽なコレステロール対策です。その他にもジョギング、水泳などの負荷が軽く長時間継続できる有酸素運動でも同様の効果が得られるでしょう。コレステロール対策で有酸素運動するのであれば、毎日30分以上続けることが重要です。なぜなら、これらの運動の継続が、糖や脂肪の代謝を促進させることが分かっているからです。
なお、善玉コレステロールを増加させるには、1週間に合計120分間の運動を行うか900kカロリー消費する身体活動が必要と言われています。
長時間継続して行う有酸素運動に対して、一気に素早い動きで身体活動を行う無酸素運動があります。筋力トレーニングや陸上競技の短距離走などがその代表的な例です。健康づくりの面から言うと、有酸素運動能力が高い人ほどメタボリックシンドロームに該当する割合が高いことがわかっています。ムキムキの身体作りを目指す人は別として、健康維持を目的とするなら無酸素運動より有酸素運動をおすすめします。
どういった食材がコレステロール対策にいいの?
コレステロール対策にあたって、食生活の見直しは欠かせません。栄養バランスを意識することとコレステロール値をコントロールできる食材を意識して摂取することも、大事なポイントです。それではコレステロール対策の食材としてどのようなものがあるのか、以下で主なものをピックアップしてみました。
麦ご飯
麦ご飯がおすすめなのは、お米と一緒に炊く大麦には大麦β-グルカンという成分が入っているからです。大麦β-グルカンを機能性関与成分として届出た機能性表示食品にはLDL(悪玉)コレステロールを下げる機能が報告されているものがあるので、特にコレステロールを気にしている人にはおすすめできる食材になります。また、腸内環境を改善するという機能も報告されているものがあるので、より健康に寄与できるといえるでしょう。大麦の種類には、押麦、もち麦、米粒麦など多くの種類があるので、自分に合った大麦製品を探してみるのも楽しいと思います。
牡蠣
牡蠣はよく「海のミルク」と呼ばれています。これは私たちの健康維持のために必要な栄養素をほとんど含んでいるからです。タンパク質や糖質・脂質などの基本的な栄養素のほかにも、各種ビタミン・ミネラルも含まれています。牡蠣自身にさまざまな栄養分が含まれているほかにも、別の食材と一緒に食べるとその食材の消化を助ける働きももっています。栄養バランスのとれた食事を意識するのであれば、牡蠣を定期的に摂取するのはおすすめといえます。
牡蠣がコレステロールに良いという理由は、牡蠣にはタウリンという成分が含まれているからです。タウリンは、胆汁酸と結びつくことでコレステロールを消費してコレステロールを減らす働きがあると考えられています。そのほか、心臓や肝臓の機能を高めたり、視力の回復、インスリン分泌促進、血圧を抑えるなど、さまざまな効果があると言われています。
高野豆腐
近年高野豆腐が栄養価の高い食材として、再注目を集めています。大豆由来のタンパク質やカルシウム、鉄分とさまざまな栄養素が凝縮されています。さらに悪玉コレステロールを低下させる働きがあるのではと、脚光を浴びているのです。その鍵を握っているのが、レジスタントタンパクです。高野豆腐に含まれるたんぱく質の中でも、レジスタントタンパクはおおよそ30%占めています。
このレジスタントタンパクは、食物繊維に似た働きをするとみられています。悪玉コレステロール値を下げるだけでなく、中性脂肪値の食後の急上昇を抑制する効果もあるといわれているのです。何か一品足りないときなどは、高野豆腐の煮物などを食べてみるとよいでしょう。最近では電子レンジでチンできる高野豆腐も出てきていて、今まで以上に手軽に食べられるような商品も出てきています。
椎茸
その他、悪玉コレステロールを下げるとされる食品には椎茸があります。椎茸に含まれるエリタデニンという成分による働きであることがわかりました。
効果的にコレステロール対策ができる運動
コレステロール対策には食生活の見直しだけでなく、運動することも大事です。総コレステロール、悪玉コレステロールを下げるだけでなく、善玉コレステロールを上げる効果も期待されているからです。動物を使った試験によると、脂質の代謝には、無酸素運動よりも有酸素運動を、行ったほうがよいとされています。
有酸素運動はウォーキングやスロージョギング、サイクリング、ベンチステップ運動、水泳など大きな筋肉をダイナミックに動かす運動です。自分の体調や生活環境を考慮して、自分に合った有酸素運動を実践するとよいでしょう。たとえば腰やひざなどが悪い、痛くならないか心配かもしれません。その際は自転車型トレーニング器具や水中ウォーキングなどの、関節にかかる負担の少ないものを選びましょう。
有酸素運動をするのであれば1日の合計が30分以上、1週間に少なくても3回以上、できれば毎日行うことを目標にしてください。運動は、一回の運動を数回に分けて、1日の合計として30分であればそれでも大丈夫です。強度については中強度を目安にしましょう。普通に歩く速さのウォーキングが中強度の運動になります。
自宅での簡単なトレーニングでコレステロール対策!
運動でコレステロールをしたいが、ウォーキングやジョギングなど有酸素運動をするだけの時間が取れないという人はいませんか?その場合自宅にてちょっとした時間で、実践できるエクササイズを取り入れましょう。
まずはスクワットです。太もものほかにもお尻の筋肉を鍛えられます。何度か繰り返していると、体が温まってくるはずです。これは全身の血流が促進されている証拠です。肩幅に両足を開いて立って、両腕は胸の前でクロスするか軽く前に伸ばします。そしてゆっくり上体を沈めていきます。この時膝がつま先よりも前方に出ていないか、確認してください。太ももやお尻に重さを感じたら、膝を伸ばして元に戻しましょう。10回を1セットで、1日2~3セットを目標にしましょう。
ヒップリフトというトレーニングもおすすめです。お尻とハムストリングス、背筋など体の後ろ側の筋肉を一気に鍛えられます。膝を立てて仰向けになりましょう。そしてお尻を上に持ち上げていきます。この時肩から膝が一直線になるように、持ち上げるのがポイントです。そしてゆっくりとお尻を下ろして、元の状態に戻ります。これも10回1セット、1日2~3セットを目標にしましょう。お尻を持ち上げたときに膝が開いてしまうこともあります。そこで膝を閉じるように意識して、実践するのがおすすめです。
まとめ
コレステロールの高い状態になっていることは、自分でははっきりと認識しにくいでしょう。自覚症状がないからです。しかし放置していると動脈硬化を招き、結果的には心筋梗塞や脳梗塞など生死にかかわる重要な病を発症しかねません。もし血液検査の結果、悪玉コレステロール値が正常値よりも高くなっているのであれば、まずは医師に相談し、そのうえで上記のような生活習慣をもつことが大事です。
自分でコレステロール値を管理するなら食事と運動の見直しをおすすめします。ここで紹介した悪玉コレステロールを下げる食材や運動を積極的に自分の生活習慣で取り入れましょう。規則正しい生活習慣を意識すれば、今は異常値でも再び正常値の範囲内にもっていくことも可能といえるでしょう。